V 近世社会の発達
3 近世の社会と経済
3 経済活動
商業と貨幣
 朝鮮初期の商業は、国家統制下にある市廛を中心におこなわれた、国家は京署をおいて市廛を監督した。ここでは度量衡を検査して物価を調節し、商業を統制した。

 政府は市廛に国家が必要とする物品を調達、供給させた。市廛は鍾路の道路周辺にあったが、政府では店舗を建てて商人に貸与し、店舗税と商税を徴収した。市廛の商人は官庁に物品を納め、代わりに特定商品に対する独占販売権を与えられた。これらの市廛のなかでは絹、紙、魚などを売る店舗がもっとも繁盛したが、後にはこれを六矣廛といった。

 首都近郊と地方には商売が発達した。15世紀後半から台頭しはじめた商売は、農業生産力の発達で繁盛した。商売は5日市場として定着していき、16世紀中葉になると全国的な流通網が形成された。主に褓負商によって農産物、手工業製品、水産物、薬剤などが流通した。

 朝鮮初期の貨幣としては楮貨、朝鮮通宝などが作られたが、一般社会にまで広く流通しなかった。交易の媒介となるのは主に米と綿布であった。

 朝鮮時代の国際貿易は、明とは使臣の往来による朝貢貿易と私貿易が、女真とは貿易所による交易が、そして日本とは倭館貿易が主に行われた。国境付近では若干の私貿易も行われた。私貿易は厳格な監査下に行われたが、このとき主に取引された物貨は綿布と食料だった。

[写真:朝鮮通宝]


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