中央日報 2005.11.21 20:02:54
【噴水台】科学と詐欺
英科学誌「ネーチャー」と米科学誌「サイエンス」は100年間、世界科学の流れを主導してきた雑誌だ。
ダーウィンの進化論の論文とワトソン・クリックのDNAの二重螺旋(らせん)分子構造モデルは、ネーチャーを通じて紹介された。
レントゲンのX線発見とモーガンのキイロショウジョウバエを用いた突然変異の研究、光線が重力場によって曲げられるというアインシュタインの重力レンズ効果は、サイエンスに掲載された。
学術誌なら、物理学の「フィジカル・レビュー・レターズ」、生物学の「セル」などが該当分野の最高に選ばれる。
しかし、伝統と影響力で、ネーチャーやサイエンスに勝てない。
両誌の発行部数は少ないが、影響力は1000万部以上だ。 「1回掲載されれば、10年間研究が保障される」というほど学問的権威を認められる。
両誌の表紙論文は、全ての科学者の夢である。 ここの編集者の机は、最新の研究結果が最も先に到着する所だ。
権威を維持するため、客観的な検証の手続きも厳しい。
しかし、全てが完ぺきにはいかない。 1912年、英国で発掘されたピルトダウン化石は、科学界の代表的な詐欺に選ばれる。 現代人の最も古い先祖が英国人、だと立証付けられたのだ。
化石は、大英博物館に大事に据え置かれた。 しかし、40年後に年代測定の過程で詐欺劇が発覚した。
人間の頭がい骨にオランウータンのあごを付け、古くなった化石のように見せかけるため、重クロム酸塩で着色処理したことが分かった。
東京大学・多比良教授は最近、ネーチャーの権威を傷つけた人物だ。 同氏は「がんの転移を左右する分子はリボザイム」という論文を相次いで発表した。
ネズミの実験を通じてリボザイムががん細胞の侵入を完全に遮断した、と主張しノーベル賞の最有力者に選ばれた。
しかし、他の研究者らの実験で、同じ結果が立証されなかった。 論文の信頼性について疑問が提起されると、同氏は「実験の結果を保存していない」とはぐらかした。
東京大学は今年9月、多比良教授に強制的に再実験を求めた。
最近、ソウル大・黄禹錫(ファン・ウソック)教授のES細胞作製をめぐって、ネーチャーとサイエンスが問題を提起している。実験用の卵子を不適切に入手したとのことだ。 生命にかかわっている研究であるだけに、倫理の基準は厳しくならざるを得ない。 だからといって、初めてES細胞を作製した輝かしい業績まで全部罵倒されてはならない。 堂々と釈明しなければならないだろう。 中途半端な対応では、第2のピルトダウン、第2の多比良に問われるかもしれない。 単なる失敗と故意の詐欺は、厳しく区別しなければならない。
李哲浩(イ・チョルホ)論説委員
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