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捏造は日本もやってる

中央日報 2005.12.26 20:45:21

【噴水台】狂気の時代

 「これは実際の状況だ。火星に生命体が存在している」。1996年8月6日、CNNは米航空宇宙局(NASA)の公式発表文を緊急報道した。 いん石の分析結果から出てきた、科学歴史上の最大の発見だった。 当時のビル・クリントン大統領は「宇宙開拓に米国のあらゆる力量を総集結する」と宣言した。 その後9年間、火星探査船を何度も打ち上げたが、生命体の痕跡さえ探すことはできなかった。 再選を控えて、クリントン陣営と数兆ウォンの予算をねらったNASAが共謀したハプニングとして幕を下ろした。黄禹錫(ファン・ウソック)教授チームの論文ねつ造は哀れだが、NASAに比べるとずっとましだ。 過度に自責に駆られる必要はない。

 米MIT大のボルティモア教授は75年、37歳の年齢でノーベル医学賞を受賞した科学界の英雄だ。彼は86年、共同著者として名前を載せた免疫体に関する論文で途方もない苦難にぶつかった。 白人の同僚研究員が「ねつ造された論文」と暴露したのだ。 メディアの魔女狩りが始まり、議会常任委の聴聞会も開かれた。 ロックフェラー大総長から解任された彼は、学者としては廃人と同じだった。10年後、スタンフォード大研究チームの実験で彼の理論は立証された。 傷だらけの再起だった。 白人の同僚は「ボルティモアがアジア系研究員を寵愛するので恨みを抱いた」と告白した。

 狂気が猛威をふるうと科学は死んでしまう。 フランス革命が終わる前日の1794年5月8日、「化学の父」ラボアジェは断頭台で首を切り落とされた。 徴税請負人として人民を困らせたという罪目だった。 数学者ラグランジュは「彼の首を切るのは1分だが、それほどの頭脳を作るには100年以上かかる」と悲しみ嘆いた。 ラボアジェ実験室の助手デュポンは幻滅を感じ、米国へ移民した。 今日、世界最大化学企業のデュポンがフランスではなく米国企業になったのはこのためだ。

 日本の東京大学は10回以上も虚偽論文を発表した多比良教授をすぐには解任しなかった。 その代わりに最後に実験のやり直しを命じた。 ボルティモアとラボアジェが残した教訓のためだ。 万一あるかもしれない悲劇を防ぐための措置だ。 黄教授の論文ねつ造と二転三転する発言は残念だ。 だが、再実験の結果まで静かに見守りながら玉石を分けるのが定石である。 本当に‘完全なねつ造’なら、その時に措置を取っても遅くはない。 行き過ぎた純粋性と潔癖症は極端へ向かいやすい。 一歩引いて冷静にならなければならない。 今日が後日の狂気の時代として記録されないようにするためには…。

李哲浩(イ・チョルホ)論説委員

中央日報 2005.11.21 20:02:54

【噴水台】科学と詐欺

 英科学誌「ネーチャー」と米科学誌「サイエンス」は100年間、世界科学の流れを主導してきた雑誌だ。 ダーウィンの進化論の論文とワトソン・クリックのDNAの二重螺旋(らせん)分子構造モデルは、ネーチャーを通じて紹介された。 レントゲンのX線発見とモーガンのキイロショウジョウバエを用いた突然変異の研究、光線が重力場によって曲げられるというアインシュタインの重力レンズ効果は、サイエンスに掲載された。 学術誌なら、物理学の「フィジカル・レビュー・レターズ」、生物学の「セル」などが該当分野の最高に選ばれる。 しかし、伝統と影響力で、ネーチャーやサイエンスに勝てない。

 両誌の発行部数は少ないが、影響力は1000万部以上だ。 「1回掲載されれば、10年間研究が保障される」というほど学問的権威を認められる。 両誌の表紙論文は、全ての科学者の夢である。 ここの編集者の机は、最新の研究結果が最も先に到着する所だ。 権威を維持するため、客観的な検証の手続きも厳しい。

 しかし、全てが完ぺきにはいかない。 1912年、英国で発掘されたピルトダウン化石は、科学界の代表的な詐欺に選ばれる。 現代人の最も古い先祖が英国人、だと立証付けられたのだ。 化石は、大英博物館に大事に据え置かれた。 しかし、40年後に年代測定の過程で詐欺劇が発覚した。 人間の頭がい骨にオランウータンのあごを付け、古くなった化石のように見せかけるため、重クロム酸塩で着色処理したことが分かった。

 東京大学・多比良教授は最近、ネーチャーの権威を傷つけた人物だ。 同氏は「がんの転移を左右する分子はリボザイム」という論文を相次いで発表した。 ネズミの実験を通じてリボザイムががん細胞の侵入を完全に遮断した、と主張しノーベル賞の最有力者に選ばれた。 しかし、他の研究者らの実験で、同じ結果が立証されなかった。 論文の信頼性について疑問が提起されると、同氏は「実験の結果を保存していない」とはぐらかした。 東京大学は今年9月、多比良教授に強制的に再実験を求めた。

 最近、ソウル大・黄禹錫(ファン・ウソック)教授のES細胞作製をめぐって、ネーチャーとサイエンスが問題を提起している。実験用の卵子を不適切に入手したとのことだ。 生命にかかわっている研究であるだけに、倫理の基準は厳しくならざるを得ない。 だからといって、初めてES細胞を作製した輝かしい業績まで全部罵倒されてはならない。 堂々と釈明しなければならないだろう。 中途半端な対応では、第2のピルトダウン、第2の多比良に問われるかもしれない。 単なる失敗と故意の詐欺は、厳しく区別しなければならない

李哲浩(イ・チョルホ)論説委員

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