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解禁!黄禹錫教授批判

朝鮮日報 2005/12/20 07:39

黄禹錫教授、新薬開発ベンチャー企業の株主だった

 黄禹錫(ファン・ウソク)教授がAIDSワクチンを開発するバイオベンチャー企業の株主だったことが分かった。

 店頭市場コスタックに上場したキュロコムは今月19日、自社が先月の持分100%を買収したワクチン開発業社のスマジェン(SUMAGEN)の株主のうち、一人が黄教授だったと明らかにした。

 黄教授は額面価格500ウォンの株式5000株を持っており、これはスマジェン全体持分の0.11%を占める。キュロコムの関係者は、「先月スマジェンの株式を買収した際、全体の約半分ほどについては代金を現金で支払った」とし、「黄教授の持株は、現金で買い取った」と明らかにした。現金買収の場合、1株当り4611ウォンの計算だったため、黄教授が手にした現金はおよそ2300万ウォンとなる。

 キュロコムの関係者は、「黄教授がスマジェンの株主に参加した理由は、スマジェンの設立者のうちの一人と知り合いだったためだと聞いている」とし、「元々スマジェン株式の額面価格は5000ウォンだったが10分の1に額面分割して5000株となった」と述べた。

朝鮮日報 2005/12/20 09:47

【ES細胞真偽問題】「黄教授チーム、卵子1000個余り使用」 
ソウル大、黄教授ついて過去の論文も含め調査へ

 ソウル大学の最高位関係者は今月19日、「黄禹錫(ファン・ウソク)教授事態と関連し、2005年度サイエンス誌論文だけに限らず、黄教授の過去の研究全体を検証する」と述べた。ソウル大学の調査委員会はこれと関連し、黄教授研究グループの獣医科大学の研究室を全面的に閉鎖するなど、幹細胞研究を中断させた。

 また、黄教授研究グループのなかで、もっとも先に「幹細胞は存在しない」と宣言したミズメディ病院の盧聖一(ノ・ソンイル)理事長は、本紙とのインタビューで「黄教授に提供した卵子の総計は、およそ880個」と述べた。 これは「185個の卵子を利用して11個の幹細胞を作製した」という黄教授の主張と違うものだ。

 ソウル大学の最高位関係者はこの日、「調査委員会の調査範囲は、2005年度のサイエンス誌に掲載された論文、2004年度のサイエンス誌論文、クローン犬スナッピーなどまで拡がるだろう」と述べた。また、同関係者は「ソウル大学の調査委員会には懲戒提案権も付与された」とし、「調査委員会の活動が終わり次第、学則などに違反したことが判明した教授を含む研究者に対しては、まとめて懲戒措置が取られるものと見られる」と述べた。

 これによって、ソウル大学の調査委員会は2005年度のサイエンス誌論文の真偽、黄教授研究グループの2004年度のサイエンス誌論文、今年8月公開された体細胞クローン犬「スナッピー」、1999年誕生したクローン牛「ヨンロンイ」の順に調査を進めることが分かった。

 ソウル大学調査委員会のある関係者は同日、黄教授の胚性幹細胞研究所と実験室の出入りを統制して、研究室を完全に閉鎖したことと関連し、「黄教授研究の真偽が明確に把握されるまで、幹細胞研究所の運営は全面的に中断されたとみてよい」と述べた。

 一方、盧聖一ミズメディ病院理事長は、「2003年半ばから2005年2月まで、後続論文のために黄教授研究グループの880個の卵子を提供した」と明らかにした。このうち2004年末までについては、卵子寄贈者に補償金を支給して入手した卵子であり、生命倫理法が施行された2005年1月1日からは純粋な寄贈者からの卵子だと盧理事長は説明した。

 盧理事長は、「黄教授研究グループが、ハンナ産婦人科などから提供された約200個の卵子を合わせるとおよそ1000個の卵子を使ったにもかかわらず、患者のカスタマイズ型幹細胞を作製する実績が遅々として進んでいないことからも、現在の技術水準では幹細胞の実用化はまだまだ先の話だと思う」と述べた。

朝鮮日報 2005/12/20 07:17

【ES細胞真偽問題】黄教授の研究につきまとう妙なジンクス

 偶然か、それとも必然的なものだったのか。黄禹錫(ファン・ウソク)教授の重要な研究成果には、いつも予想できない「アクシデント」がついて回った。

 もっとも最近発生した事故は、黄教授研究グループが2005年、サイエンス誌に論文を提出する2か月前の1月9日、犬の飼育場からカビが飛んできて培養していた幹細胞6個が死滅したというものだ。2004年3月12日、サイエンス誌への発表論文を準備していた際にも、研究室で4時間の停電事故が発生した。

 黄教授は2004年6月、寛勳クラブ(中堅記者による言論研究・親睦を目的とした集まり)でのシンポジウムで、「2003年秋に停電事故が起き、およそ100個の細胞群(コロニー)のうち2個だけを残してすべて死んでしまったことがある。再び実験を成功させる自信がなくて、 安圭里(アン・ギュリ)教授に明日、葬儀場を予約してくださいと冗談を言った」と述べた。しかし、朝になって黄教授が確認した結果、奇跡的に2個の細胞の固まりが「すくすく」と育っていたという。

 1999年誕生した国内初のクローン牛のヨンロンイは、論文がそもそも存在しなかった。 黄教授は、「それ(論文)をどこかに出しても、掲載される可能性もないから」と述べた。普通はクローン牛を作製する過程ではDNA分析資料であるマイクロサテライト(Microsatellite)で外部の検証を受けるが、これさえも行わなかった。黄教授は、「こうなることがわかっていたら大切に保管していたものを…」と述べた。

◆黄禹錫教授の主な業績と事故

日時/業績・発生事故/

1993年/国内初の試験管内授精子牛を生産/

1999年3月/クローン牛ヨンロンイ生産/論文未発表・DNA分析資料紛失/

1999年4月/体細胞クローン韓牛(韓国産牛)チンイ生産/

2002年8月/形質組み替えのクローンブタ生産/

2003年秋/研究室4時間停電で細胞コロニーが死滅/

2004年2月/サイエンス誌への論文発表(1本目)/

2005年1月/カビ汚染で幹細胞6個が死滅/

2005年5月/サイエンス誌への論文発表(2本目)/

2005年8月/ネイチャー誌への論文発表(クローン犬スナッピー)/

朝鮮日報 2005/12/20 11:40

【ES細胞】黄教授の2004年度論文は先行研究の焼直し?


2004年にサイエンス誌に掲載された黄教授研究チームのES細胞の写真(左)は、2003年度末に韓国の『モレキュール・アンド・セル』誌に掲載されたミズメディ病院チームのES細胞の写真と同一だ。

 今月19日、 黄禹錫(ファン・ウソク)教授の2004年度サイエンス誌論文の写真が、2003年度末に国内学術誌に掲載された論文の写真に似ているという疑惑が浮かび上がった。さらにこの2004年度論文の写真は、当時の他の国際学術誌に掲載されたものに類似しているという疑惑も提起された。

 2003年発行された国内学術誌と2004年の「他の国際学術誌」の論文の著者は、両方ともミズメディ病院の研究グループだ。もしこうした疑惑が事実だとすれば、黄教授は2003年と2004年のミズメディ病院の論文を継ぎ接ぎして論文を作ったことになり、ひいては黄教授研究グループには体細胞クローン胚性幹細胞作製という源泉技術も存在しないという結論となり、大きな波紋を呼ぶことが予想される。

@2004年度の黄教授研究グループの論文=2004年ミズメディの国際論文?

 科学技術人連合、生物学研究情報センター(BRIC)とディーシーインサイドの科学ギャラリーなど、インターネットサイトの掲示板で、黄教授研究グループの2004年度サイエンス論文に登場する体細胞クローン胚幹細胞の写真が、ミズメディ病院の受精卵胚性幹細胞と同じか重複するという主張が提起された。このミズメディ病院の受精卵胚性幹細胞は、ミズメディ研究グループが国際ジャーナルの「ステムセル(Stemcell)」に発表した受精卵胚性幹細胞の写真のことだ。

 疑惑は、「サイエンス誌論文に掲載された1番体細胞クローン胚性幹細胞の写真Dとミズメディ病院の1番受精卵胚性幹細胞の写真Bの一角が完璧に重なる」というものだ。ある幹細胞研究者は、「栄養細胞や点の模様まで完璧に重なり、一つの培養皿(シャーレ)にある幹細胞を撮ったものとしか思えない」と主張した。

A2004年度の黄教授研究グループ論文と2003年度ミズメディの国内論文?

 2004年度サイエンス誌論文に掲載された他の写真B、Dも、ミズメディ病院研究グループが、国内で発行する英文ジャーナルである『モレキュール・アンド・セル(Molecule and Cell)』に掲載された1番の受精卵胚性幹細胞B、E写真と同じだ。

 ミズメディ病院のモレキュール・アンド・セル誌の論文は2003年11月25日に提出され、12月17日に掲載が認められた。ステムセル誌の論文は2003年11月24日に提出され、2004年5月5日に掲載が認められており、黄教授研究グループのサイエンス誌論文は2003年12月9日に提出され、2004年2月4日に掲載が許可された。

 論文の提出時期もミズメディ病院が先であるが、各論文に掲載された1番受精卵胚性幹細胞は、すでに2002年度の論文として発表されたものだ。2003年提出された2つの論文は、この幹細胞と他の幹細胞などを比較する内容だ。

B3本の論文は著者もほぼ一致

 重複するとみられる写真も多いが、これら論文の著者もほぼ重なっている。

 ステムセル誌論文は、現在ピッツバーグ大学に派遣されているキム・ソンジョンミズメディ病院研究員(当時)らが提出したものであり、論文の巻末に盧聖一(ノ・ソンイル)理事長と尹賢洙(ユン・ヒョンス)博士に対する感謝の文が載せられている。

 モレキュール・アンド・セル誌の論文も、ピッツバーグ大学のパク・ジョンヒョク、キム・ソンジョン研究員が第1著者であり、 尹賢洙博士が責任著者だ。この論文に掲載された1番受精卵の胚性幹細胞は、すでに2002年度、尹賢洙博士などが国際ジャーナルに発表したものだ。

 これら研究者らは、黄教授研究グループのサイエンス誌論文に次々と著者として参加した。パク・ジョンヒョク博士は2004年、2005年度のサイエンス誌論文の共同著者であり、盧聖一、尹賢洙、キム・ソンジョン博士は2005年度論文の共同著者だ。これらは全員、黄教授研究グループが作製した胚から幹細胞を抽出して培養する過程を担当したとされていた。

朝鮮日報 2005/12/20 15:59

【ES細胞真偽問題】支持・撤回・沈黙…共同著者らの反応

 黄禹錫(ファン・ウソク)教授の今年のサイエンス誌論文には計25人の名前が共同著者として記載された。ところが、彼らは黄教授の疑惑が提起されるや、一斉に口を閉じたり、自らの発言を変えている。このような態度がむしろ実際の究明に障害として作用しているため、韓国国民の間では「事実を信条とすべき科学者の姿勢に反する」という非難の声が上がっている。

 2005年サイエンス誌論文の著者25人中、19日に本社が確認した11人の中で「ヒト胚性幹細胞(ES細胞)の存在」に関して言及したのは6人だけ。その中でも「11個すべて存在する」と明白に断言したのはソウル大の黄禹錫、?柄千(イ・ビョンチョン)教授の2人だけだ。

 また、黄教授の右腕といわれる姜成根(カン・ソングン)獣医科教授、シャッテン米ピッツバーグ大教授は自らの発言を変えている。数字には言及しなかったが、それでも「この目で見た」と証言したのはキム・ソンジョン研究員、尹賢洙(ユン・ヒョンス)漢陽大学医学部教授。ハンナ女性病院のチャン・サンシク院長は「実際に見ていない」とする立場で、安圭里(アン・キュリ)教授ら4人は口を固く閉ざしたままだ。盧聖一(ノ・ソンイル)ミズメディ病院理事長にいたっては「すべて偽物」という爆弾宣言までしている。

 共同著者という運命共同体から真っ先に離脱の動きを見せたのはピッツバーグ大のシャッテン教授。先月12日、2004年論文の卵子提供問題で決別を宣言した。二人目の離脱者は第2著者で黄教授の実質的な後援者だったミズメディ病院の盧聖一理事長だ。

 ES細胞の培養を指揮した漢陽大の尹賢洙教授も18日、複数のマスコミとのインタビューで「ES細胞を実際に見ておらず、テラトーマ(奇形腫)検証も私はしていない」と語った。周辺では「尹賢洙教授も黄教授と距離を置くのではないか」といった分析が出ている。

 黄教授のスポークスマン役を務めるソウル大学医学部の安圭里教授は、最近ある放送局とのインタビューで「ES細胞を直接見たり、実験に加わったりはできなかったが、ソウル大で事実を究明する際にES細胞が存在することを証明しなければならない」との立場を明らかにした。

 それ以外の共同著者たちは極度に発言を控えている。ソウル大学医学部のペク・ソンハ教授は19日、電話インタビューで「申し上げることはありません。失礼します」と答えた。ソウル大学のイ・チャンギュ教授は「(サイエンス誌論文撤回に関して)公式の署名要請があった場合、他の人たちと同様に署名する」と話した。卵子実験の核心メンバーだったハンナ女性病院のチャン・サンシク院長は「(論文撤回について)サイエンス誌からメールを受取っておらず、ES細胞も実際に見ていない」と述べた。

朝鮮日報 2005/12/20 16:13

【ES細胞真偽問題】朴補佐官「黄教授が責任を負わねば」

朴基榮(パク・ギヨン)大統領情報科学技術補佐官 朴基榮(パク・ギヨン)大統領情報科学技術補佐官は19日、黄禹錫教授のES細胞真偽問題について「黄教授は論文(ねつ造)の責任を負わなければならない」と話した。

 朴補佐官は同日、「ヘラルド経済」記者と会い「科学論文の要は正直さなのに、現在の状況は(黄教授の話した)人為的ミスが(意図的)ねつ造だったことが明るみになりつつある」とし、このように述べた。

 これまで黄教授の支援をリードしてきた朴補佐官は、ES細胞の有無について「昨年と今年の2回にわたり、黄教授からソウル大学(研究室)でES細胞だと見せてもらったことがある」としながも、「しかし、それが受精卵のES細胞なのか、コピーしたES細胞なのかの区別はできなかった」と話した。朴補佐官は「少なくとも当時は黄教授を信じていたので疑わなかった」と話した。

 朴補佐官は16日、黄教授が記者会見でコピーしたES細胞を誰かが(ミズメディ病院の)受精したES細胞と取り替えたと主張したことに対し、今月初め黄教授でない違うルートでそのような主張を聞いたことがあったが確認はできなかったことを明らかにした。また、先月22日の「PD手帳」の報道以降、盧大統領に関連状況を報告した際「取替え」などと言った話はなかったと述べた。

 朴補佐官は、自分の責任論に関して「私自身も混乱している」とし、「ソウル大調査委員会の結果が出るまで状況を見守りたい」とだけ話した。

朝鮮日報 2005/12/22 16:45

【ES細胞真偽問題】黄禹錫教授の研究費は658億ウォン

 米国のピッツバーグ大学のシャッテン教授が、黄禹錫(ファン・ウソク)教授に20万ドルの研究費を要求したという報道(本紙21日付)直後、黄教授研究グループの研究資金規模が明るみに出ている。現在まで判明した政府や地方自治体からの「公式」的な支援規模は658億ウォンだ。しかも各企業の個別の支援額を合わせると、総計700億ウォンを超えるものと見られる。

 民主労動党は1998年以降、政府が黄教授に支援した金額は計658億ウォンにのぼると今月21日明らかにした。科学技術部・情報通信部が380億ウォン、保健福祉部とソウル大学病院の幹細胞ハブ支援金63億ウォン、京畿(キョンギ)道の黄禹錫バイオ臓器センター建設費用215億ウォンなどだ。単一の研究グループへの支援規模としては歴代最高であることがわかった。

 政府の黄教授研究グループに対する支援は1998年9月、クローン牛のヨンロンイ事業支援のための3億ウォンから出発した。その後、支援は回を重ねるごとにその額を増し、今年は科学技術部が275億ウォン(施設費245億ウォン、研究費20億ウォン、一般支援10億ウォン)を支出した。

 これには、いわゆる「黄禹錫研究棟」と呼ばれるソウル大学の生命工学研究棟の建設費用(125億ウォン)、霊長類研究施設建設費用(40億ウォン)、クローンブタ及びクローン基盤研究事業(15億ウォン)などが含まれている。

 国会に提出された予算案が成立する場合、最高科学者第1号に選定された黄教授は、来年から5年間、毎年30億ウォンずつ、合わせて150億ウォンを受け取ることになる。科学技術部と情報通信部から65億ウォンが策定されており、福祉部とソウル大学が世界幹細胞ハブに40億ウォンを支援する予定だ。この他黄教授は、国家要人に指定され身近の保護措置とともに、研究員に対しては兵役免除のメリットも与えられた。

 地方自治体や民間企業も黄教授への支援に力を入れた。農協中央会は10億ウォンを畜産発展研究後援基金として提供し、大韓航空も黄教授に今後10年間国内外の全路線を利用できる最上位クラスのシートを約束した。

中央日報 2005.12.22 11:10:57

<黄禹錫教授の真実は…>「僕、じゃ、歩けないの?」体細胞提供した男の子

体細胞寄贈者キム某君の父、キム・ジェオン牧師(42、写真) 「私はES細胞があると信じています。まだその方に対する希望を捨てることができないからです」−−。

 体細胞寄贈者キム某君の父、キム・ジェオン牧師(42、写真)は20日、記者との通話で黄禹錫(ファン・ウソク)教授に対する期待を捨てていなかった。

 今年11歳になるキム君は現在、真偽論争の核心である2番ES細胞を作る体細胞を提供した主人公だ。キム君は2002年8月、交通事故に遭い、せき髄に障害がある。

 キム牧師は病院側の紹介で黄教授に会った。「病室を訪れた黄教授がうちの子供に『私が君を歩けるようにしてあげる』と約束してくださったんです」キム牧師は黄教授の言葉を信じて何回か息子の体細胞を黄教授チームに提供した。

 キム牧師の妻も喜んで卵子を寄贈した。キム牧師は黄教授の紹介でソウル大獣医学部機関倫理審議委員会(IRB)の宗教界委員も買って出た。黄教授はキム牧師の家族に「(2005年5月ごろ良い知らせがあるだろう」と言ったという。ところが良い知らせは10月に持ち越され、再び「来年10月にする」と先送りされた。

 そして今月15日、『PD手帳』を見たキム君の家族はあっけにとられた。

 放送を見た後、しばらくものも言えなかったキム君は「父さん、僕、それじゃあもう歩くことはできないの?」とキム牧師を見つめていたという。

 「たとえES細胞がないという結果が出ても、黄教授は源泉技術を持っていて、いつか良い結果を出すはずだという希望を捨てることができません」キム牧師は悲痛な面持ちでソウル大調査委がどんな結論を下すか固唾を呑んで見守っている。

中央日報 2005.12.22 13:03:23

【中央時評】黄禹錫教授はわれわれの顔だ

ユン・ピョンジュンハンシン大教授(社会哲学)  1カ月前はまだわれわれの英雄だった黄禹錫(ファン・ウソク)教授が、今は「被疑者」扱いの身分にまで墜落した。

 三国志顔負けな反転と屈曲、陰謀と本物探しゲームが科学研究をめぐって進行されているのだ。この情けない現場を見ている国民の心は、年の瀬に襲い掛かった酷寒のように凍りついている。

 ソウル大調査委の検証が事態収拾の鍵となってほしいと願いながら、黄禹錫教授疑惑も事態の行方を占ってみよう。

 手綱の緩んだ民族主義と愛国心、成果至上主義、経済的付加価置に対する盲目的期待、耐え難い軽いマスコミの扇情主義、難病患者たちの切実な願い、政界の政略などが絡まったこのドラマは、韓国社会を赤裸々に露呈してしまった。こんな雑多な要因を背景にした黄禹錫英雄神話の台頭と没落は、当分、冷めた分析の対象になるだろう。

 今回の事態で私が集中的に関心を持つ部分は、黄教授による繰り返された嘘と、それが韓国社会で受け入れられてしまっている様相だ。

 彼は卵子供与問題について1年以上嘘を突き通すが、決定的証拠が出されるややむを得ず認めた。2005年のサイエンスの論文の真偽性に関し暴露されると黄教授は「人為的ミス」という巧言とともに論文を取り消すとした。

 しかし彼は論文操作を明示上、認めないまま「幹細胞が11個ではなく3個なら、または1個ならどうなのか、論文が1年後に出るからといって何の問題があるのか」などと全世界に抗言した。

 ここでは「幹細胞すり替え」陰謀論はいったん論外としよう。

 難解な黄教授の解明で隠しきれないのは、問題の2005年論文が操作されたという明白な事実だ。仮に「源泉技術」や体細胞クローンによるES細胞株が存在するとしても、この致命的事実は変わらない。

 「治癒複製が技術的に可能だという証拠を提示した」2004年サイエンス論文の成果を一段階格上げさせ「幹細胞樹立の効率性を10倍以上上げたこと」が2005年の業績なのに、黄教授自身の説明によっても2005年の成果には根拠がない。このため論文を取り消したと思うが、その後にも彼は源泉技術があるのにそれくらいの「ミス」が何の問題になるのかと強弁したのだ。ここで黄教授は学問の基本を自ら否定している。

 さらに興味を引くのは、論文を操作したのかについてを(体細胞クローンによる患者に合わせた型の)ES細胞作成の源泉技術問題に転換させた黄教授の巧みなレトリックについて、市民たちが見せる寛容的態度だ。ここには先に例挙した要因以外に「はたいてもほこりの出ない人がいるか」という考えが定着していることがいえるだろう。

または韓国の学界に蔓延している盗作や嘘を塗り固める慣行に一般人たちさえ免疫ができているからなのか。

 1つ明らかなのは黄教授チームが犯した学問的「不正行為」の深刻性に対する認識度が、先進国に比べて韓国社会はぐっと落ちるという事実だ。これは韓国社会が慢性的な低信頼社会であるということを立証している。責任ある地位にいる公人たちが嘘と言い換えることについて日常茶飯事なことだと深刻な社会問題にしない。言葉を言うたびに「真正性」を重ねて言う政治家たちの虚言と食言はもちろん、悪性の嘘さえ審判の対象になることがほとんどない。法廷での誣告と偽証の割合が隣国とは比べるものにならないほど高い

 また修学能力試験(大学入試)での組織的不正が高校入試や小学校の現場でも発見される。大学生たちは「カンニング」について良心の呵責さえない。このように公な嘘が特に問題にならない社会に住んでいるのだ。

 これに対する省察もなしに黄教授疑惑の事態を見て一喜一悲するとき、われわれがそれほど念願する先進国入りははるか遠いだけだと思った。社会的信頼に欠いたわれわれの顔は賎民の顔でしかないのだ。

 一方、正直さと真実のために苦闘する若い科学者たちや報道人たちの顔は、それだけ美しいと思う。

ユン・ピョンジュンハンシン大教授(社会哲学)

朝鮮日報 2006/01/12 12:29

謝罪する黄禹錫教授

謝罪する黄禹錫教授

 ソウル大調査委員会が黄禹錫(ファン・ウソク)研究グループの論文ねつ造問題に対して、謝罪声明と関係者に対する懲戒の方針を明らかにした翌12日午前、ソウル韓国プレスセンターで黄教授が記者の質問に答えた後、再度謝罪している(写真=NEWSIS)。

東亜日報 MARCH 22, 2006 03:13

[オピニオン]罷兔になった「偉人」

外国人たちが黄禹錫(ファン・ウソク)氏の前にお金の入ったかばんを持って現われた。外国人がお金の入ったかばんを開けて見せながら話した。「私たちと一緒に幹細胞の研究をしましょう。すべてのことに責任を持ちます」。すると黄氏が話した。「聞かなかったことにします。この研究は絶対売買できるものではありません。特許権者はこの黄禹錫ではなく、大韓民国だからです」。子供向け『黄禹錫偉人伝』の一部だ。

◆多くの偉人伝が出た。『皆さん、黄禹錫先生の成功を学ぼう』、『貧しさと疾病に苦しむ隣人のために曲げない牛のような固執を持った黄禹錫』、『黄禹錫博士の美しい生命の道』。子供たちが拳を握り締めるほど感動的な表紙の言葉も目立つ。『科学には祖国がないが、科学者には祖国がある』。それだけではない。小学校の社会科探求6年生の教科書では、黄教授を世界の科学発展に貢献している人物として紹介している。


◆その偉人伝の主人公が論文操作で大韓民国を傷つけ、遂にソウル大学教授職から罷免になった。研究室が閉鎖され、結局罷兔で追い出されてしまった。悪代官が暗行御使(朝鮮王朝の王命を受けた秘密監察官)によって罰せられる(封庫罷職)という、劇的な逆転を連想させる。非行と不正が明るみに出て倉庫が封鎖され、補職から追放される場面だ。罷免は公務員への懲戒のうち、最も高いレベルの重い懲戒だ。今後5年間は公職任用されず、退職金も半額に削られる。最高科学者第1号のタイトルも年間30億ウォンの支援金も出なくなる。


◆ニセの偉人を尊敬させようとした大人は、恥じなければならない。子供たちの精神的な混乱をどうするのか。苦しい弁解のようだが、大人たちの罪を反省し、告白するしかない。「皆さん、科学はお金で売買できるものではない。饒舌の広報と愛国心の声援だけで科学的成功は実現できないものである」。そして付け加えるしかない。「すべてのことに疑いの念を持ちなさい」と言うのは名言であり、科学的思考の出発点である。「一つでも十でも構わない」というふうにごまかそうとする者、失敗した事を偶然の事故を言いわけする者を、特に警戒しなさい。

金忠植(キム・チュンシク)論説委員 skim@donga.com

参考記事

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