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韓国歴史教科書に対する韓国内からの批判

朝鮮日報 2005/12/13 22:04

「韓国の高校の近・現代史教科書、理念的に偏っている」(上)
韓国歴史学の重鎮・崔文衡教授の韓国高校歴史教科書批判

 「韓国の高校の近・現代史教科書は、民族統一志向の民衆・民族主義に陥っている。感傷的な民族主義と、民衆至上主義に陶酔し、国益まで損ねる結果につながるのではないかと懸念せざるを得ない」

 歴史学の重鎮、漢陽(ハニャン)大学の崔文衡(チェ・ムンヒョン/70)名誉教授が、「現行の高校の近・現代史教科書は、大韓帝国期の韓半島の運命を決定付けた国際関係をきちんと記述しておらず、生徒たちに偏見と固定観念を植えつけ視野を狭めさせてしまう恐れがある」と批判した。

 崔教授は金星(クムソン)出版社、大韓(テハン)教科書、中央(チュンアン)教育振興、斗山(トゥサン)など、6つの高校近・現代史教科書を検討した結果、「編成上の不均衡と事実関係の誤認が深刻だ」と指摘した。

 昨年、金星出版社の高校近現代史教科書が、大韓民国の建国すら「韓国現代史の10大事件」から欠落するなど、北朝鮮は肯定的に、韓国は外部勢力に依存したと主張する否定的で偏った視点による記述が社会的論争を引き起こしたのに続く、教科書への問題提起となる。

 崔教授は今月15日、ソウル歴史博物館で開かれる「教科書フォーラム」(常任代表・朴孝鍾(パク・ヒョジョン))主催の「中・高校教科書の韓国近代史記述の虚構と真実」と題したシンポジウムでこのような内容を発表する。

◆東学農民運動など、民衆運動にのみ重点

 1850年から1910年までの60年間について、東学農民運動(1894年、東学という新興宗教を中心に全羅(チョルラ)地域ではじまった外部勢力の排除を呼びかけた農民運動)に対して金星教科書は全体65ページ中9ページを、中央教育振興教科書は70ページ中8ページを割いており、もっとも少なかった大韓教科書でも49ページ中4ページを占めた。

 崔教授はその結果、「この期間に起きた他の重要な事件の扱いが小さくなったり、完全に省かれてしまったケースがたくさんある」と懸念を示した。

 崔教授は「日帝が、乙巳条約(日帝による朝鮮の外交権剥奪)の後、韓国を完全に併合するまでに5年間もかかった理由は、義兵による抗争のためだった」という金星出版社教科書の記述も「歴史歪曲」と批判した。

 「満州をめぐってロシアと米国が日本を牽制したため、日本が韓国の合併を一度に無理に進めことが難しくなった。こうした状況説明もなしに、その原因が韓国人による『義兵抗争』にあったと主張するのは、嘲笑の対象にしかならない」

朝鮮日報 2005/12/14 19:56

「韓国の高校近代・現代史教科書、理念的に偏っている」(下)
韓国歴史学の重鎮・崔文衡教授の韓国高校歴史教科書批判

◆露日戦争など、国際的事件に対する分析がない

 「日本が露日戦争に勝利したことを受け、大韓帝国政府の改革は中断された」

 金星教科書が露日戦争に割いたスペースはこの一節だけだ。清日戦争も同じだ。崔教授は「この二つの戦争は韓国合併に向けた日本の侵略戦争で、われわれの運命を決定づけた、まさに韓国史とは決して切り離せない事件」と主張しながら、「われわれの国権を侵害した決定的な事件に対して、教科書が目を背けてはならない」と述べた。

◆独島問題、安重根の義挙も簡略化

 韓・日間の重要懸案である独島(トクト)問題に対してもずさんな記述が続く。崔教授は、すべての教科書が「日帝は、露日戦争の最中で独島を日本の領土として強制編入した」とだけ記していると批判する。日本の内閣が、ロシアのバルチック艦隊の進撃速度に合わせて独島編入の手続きを踏んだ戦略的過程とその意図に注目しなければならないという主張だ。

 安重根(アン・ジュングン/伊藤博文を狙撃した独立運動家)義士に対する「冷や飯」は、記述のアンバランスの典型だ。崔教授は、「金星教科書は安重根義士に対してはわずか3行しか割いていない」と述べ、「愛国志士の方々に申し訳ない限りだ」と述べた。

◆執筆のガイドラインを作成した政府の非が大きい

 崔教授は、このような偏向記述について「執筆のガイドラインを決めた教育部の責任がより大きい」と主張した。

 崔教授はまた「今日、日本や中国との懸案は韓国史だけでは解決できないので、日本と中国はもちろん、欧米も理解しなければならない」とし、「国益のためにも教科書は必ず修正しなければならない」と話した。崔教授は西洋史を専攻しており、最近露日戦争研究など、旧韓国末の西欧列強と大韓帝国の関係に関連した論文と著書を発表している。

 今年1月、現行の教科書の理念的偏向を指摘しながら発足した「教科書フォーラム」は、今回まで4回のシンポジウムを開いて、高校の近・現代史教科書の偏向性を指摘している。「教科書フォーラム」は今月15日、「最近、教育人的資源部の高校の近・現代史教育強化政策を憂慮する」と題した声明書を発表する予定だ。

朝鮮日報 2005/12/14 07:20

「民衆・民族」で真実を覆い隠す歴史教科書

 高校の近・現代史教科書が、旧韓国末(大韓帝国期)の歴史に関してまでも、生徒たちに民衆・民族理念を吹き込むことに集中するあまり、韓半島の運命に決定的な影響を及ぼした各列強の国際関係もまともに記述していないため、国益に関する生徒たちの歴史的判断能力を損ねていると歴史学者の重鎮、漢陽(ハンヤン)大学の崔文衡(チェ・ムンヒョン) 名誉教授が批判した。

 崔教授は今月15日開かれる「教科書フォーラム」のシンポジウムで発表する論文で、各教科書が「民族統一を目指す民衆・民族主義を至上目標とする特定理論にそのまま則った」結果、国が滅びた原因も客観的に教えることができないでいると主張しながらこのように指摘した。

 崔教授は金星(クムソン)出版社をはじめとする6つの出版社の近・現代史教科書を分析し、これらの教科書が、韓国が日本の植民地に落ちぶれる契機となった清日戦争、露日戦争のような国際的事件に対する記述が、わずか1〜2行にとどまっていると主張した。

 その反面、東学農民運動(1894年、東学という新興宗教を中心に全羅(チョルラ)地域ではじまった外部勢力の排除を呼びかけた農民運動)については、近代史の全体分量の6分の1、または、7分の1を割いており、韓国の近代史がまるで東学運動を中心に展開されたかのような印象を与えていると説明している。

 歴史教科書は、基本的に事実に基づかなければならず、その上に育つ世代が賢明に次の時代を切り開けるよう知恵と教訓を与える内容でなくてはならない。

 19世紀末の韓半島は、以前から宗主国を自任していた清と日本、ロシア、英国、米国などの帝国主義列強が集まって朝鮮の支配をめぐって競争を繰り広げた外交・軍事的の草刈り場だった。こうした状況の中で、すべての国内事件が国際情勢と歯車のようにかみ合って展開された。

 両班(朝鮮時代の貴族)を攻撃し、外部勢力を排除したとして近代民族・民衆運動の象徴的事件だと評価されている東学農民運動でさえ、「天佑侠」という日本のナショナリズム団体の支援を受けていた跡が論争を呼んでいるのが現状だ。

 歴史教科書はそうした過去の時代を扱ううえで、極めて複雑に展開した韓半島周辺の列強の動きに対して当時どのように対処した結果、国権を失うことになったのかを客観的に考察し、未来の教訓にするのが筋であろう。

 こうした本筋には目を背け、「民族」や「民衆」の名前の下で特定理念を叩き込み、亡国に対するナルシズム的合理化を植え付けるとしたら、そんな歴史教育は、次の世代を「盲の国際人」にしてしまうに違いない。

中央日報 2005.12.14 18:09:49

教科書フォーラム「中高校の近代・現代史教科書、民衆抗争史のよう」

 「教科書というよりは民衆抗争史のような感じだ」。右派学者らの集い・教科書フォーラムが、今回は、中高校課程の近代史・現代史教科書の内容を批判している。今年初めにスタートした同フォーラムは、これまで経済・韓国史など中高校の教科書が、過度に自虐的であり、民族・民衆主義の見地から記述されているとし是正を求めてきた。

 たまたま教育人的資源部が、日中などの歴史わい曲に備えて、近代史・現代史の教育を強化する、との方針を明らかにした直後であることから、議論が広がる見込みだ。教科書フォーラムは15日「中高校の教科書に記述された韓国近代史の虚構と真実」というテーマでシンポジウムを開く予定だ。

 キム・ジェホ全南(チョンナム)大教授はあらかじめ配った発表文「略奪と収奪だけの、近代経済のない近代史」を通じて、近代史・現代史の教科書が「変化に付いていけない『進歩的歴史観』を特筆大書している」と厳しく批判した。キム教授は、教科書が描いている近代には、略奪と収奪、そして『それに対する対抗ではない経済活動』は全く存在しない」と主張した。

 貿易・利益・市場の合理性に関連した経済学の基礎が通用されていない、とのこと。キム教授はその理由として、現行の教科書が、植民支配時代(1910〜1945)の「抵抗」だけを強調し、「学習」の歴史には背を向けているため、と説明した。ひいては、偏向を越えたわい曲も行われている、と指摘した。

 同氏は、土地調査事業の場合、当時、総督府の所有地に編入された土地は農地全体の2.66%にすぎず、「土地調査事業によって農民らが土地を奪われ小作農に転落した、というのは明確に歴史をわい曲したもの」と主張した。また、民族資本を抑圧した、と説明されている「会社令」についてもキム教授は「市場経済を支持するための財産権保障」の部分が見過ごされている、と指摘した。

 キム教授は、その反対に会社令以降、日本資本のもとで朝鮮人の産業資本家が出現した、と話した。そのため「会社令がなかったら、民族資本が成長し日本人資本を圧倒できただろう、と記述するのは事態を糊塗するもの」という主張。最後にキム教授は「植民支配を通じて、自主的ではない変化の過程だったものの、韓国社会は近代社会に変化した」と結論付けた。

 いわゆる「植民地近代化論」という見方。また「こうした客観的な自己認識から生まれてくる謙そんを通じて、韓国人は韓国の過去とお互いに対し、そして隣国に対し、もう少し寛大になれるだろう」と付け加えた。同シンポジウムには、漢陽(ハンヤン)大・崔文衡(チェ・ムンヒョン)名誉教授も発表者として臨む。

 崔教授は、発表文で「1850〜1910年の説明の量が、東学農民運動(1894年、地方官の悪政に反対した東学信徒らが主導した農民戦争。政府は鎮圧のため清に出兵を求め、清に対抗して日本も出兵、日清戦争の契機になった)に偏りすぎており、日清・日露戦争に関連した記述は粗略」だとし「教科書というよりは、民衆抗争史のような感じを与えている」と指摘した。

゙旻槿(チョ・ミングン)記者 <jming@joongang.co.kr>

朝鮮日報 2005/12/18 15:00

「傲慢な歴史」 韓国中堅学者ら、教育部の学習資料を痛烈に批判

 「たまらなくなって出てきた」

 15日、ソウル歴史博物館で開かれた教科書フォーラム(共同代表:朴孝鍾ソウル大教授)シンポジウムに参加した学者たちは、口々に怒りをあらわにした。

 漢陽(ハンヤン)大学史学部の崔文衡(チェ・ムンヒョン)名誉教授は「(近・現代史教科書は)井の中の韓国史どころの問題ではなく、井の中さえもまともに見つめることのできない韓国史でつづられた」と批判した。

 また、「このまま座っていることができず、たまらなくなって出てきた」と、やるせなさを表現した。ソウル大学経済学部の李栄薫(イ・ヨンフン)教授は「専門家たちを差し置いて、ジェネラリストたちが歴史をまとめるというから、こんなことになる」としながら、「教育部が経済史の専門家である私にさえ、ただの一言も討論を提案してこなかった」と批判した。

 教科書フォーラムは現行の中高校の教科書の歪められた理念を批判し、改善方向を模索するため、今年1月に創設された中堅学者たちの集まりだ。

 これらの批判は先月22日、教育人的資源部が全国の高校に配布した「近・現代史の教授・学習資料」に集中した。

 教科書フォーラムは先月26日、ソウルの某ホテルで李栄薫、朴孝鍾、全相仁(チョン・サンイン)教授ら10人が参加する中、同「学習資料」を検討し、声明文を採択している。

 声明文を代表執筆した李栄薫教授は「このままでは到底無理だと思った」と、当時の参加者たちの雰囲気を伝えた。

 同日、声明文を朗読した朴孝鍾教授は「教育部の学習資料」について、「傲慢な歴史」と強く批判した。朴教授は「(教育部の)『学習資料』は大韓民国の建国を解放直後の米軍政と一部政治勢力による『大韓民国政府の樹立』程度に考えている」としながら、「自由と人権を土台にした大韓民国の建国は、長期的かつ包括的で、文明史的な事件」と主張した。

 また「(この学習資料が)韓国人の理念的選択と実践を『極右反共独裁に対する順応』と低評価するのは傲慢で不適切な行動」と話した。

 北朝鮮政府の樹立を大韓民国政府の樹立と同等に羅列し構成したことも、問題点として指摘された。

 朴教授は「大韓民国の建国と富国に尽くした歴代大統領の顔写真が掲載されていない教科書で、北朝鮮体制の統治者が笑顔で紹介されなければならない理由は何なのか、教育人的資源部を厳しく問いたださざるを得ない」と矛盾性を突いた。

 また、「統一は民族史に付与された至上課題だが、自由と人権は人類の普遍的価値が実現される過程でなければならない」としながら、「統一とは、自由と人権に基づく大韓民国の建国理念が、まだそのような文明の恵沢を受けられずにいる北朝鮮に拡大され、実現される過程」と指摘した。

 教科書フォーラムは声明文で、「近・現代史教科書が関連分野の専門家を排斥している」とし、「科学に基づく公正な詳述に向け、教育部は執筆陣を人文・社会科学のさまざまな専門家が開放的に参加できる方向で再編すべきだ」と求めた。

 朴教授は「公論化をめぐる話し合いは、教科書が修正されるまで続ける」という。

 同日のシンポジウムは、「高校の近・現代史教科書の問題点」(崔文衡教授)と「韓国史および韓国の近・現代史教科書の経済史詳述に対する批判」(キム・ジェホ全南大学教授)と題する発表の後、建国(コングク)大学の申福龍(シン・ボクリョン)教授、韓国産業技術大学の徐栄姫(ソ・ヨンヒ)教授らがディスカッションを行い、関連分野の学者や聴衆40人あまりが参加した。

朝鮮日報 2006/01/15 14:09

【教科書】「韓国の歴史教科書は世界史的解釈が欠如」
韓国歴史学の重鎮・崔文衡教授に聞く(上)

 崔文衡(70)漢陽大学史学部名誉教授は先月16日、ひっきりなしにかかってくる激励電話の応対に追われていた。大学在学中に崔教授を指導した84歳の恩師は「崔教授、あなたのやっていることは本当に重要なことだ」と激励した。

 崔教授は先月15日、ソウル歴史博物館で開かれた教科書フォーラムで「到底がまんすることができず、この場に出てきた」という言葉で、沸き起こる感情を吐露した。そして、現行の高校近現代史教科書の問題点を辛辣に批判した。崔教授は「高校の近現代史教科書が民衆民族主義を至上とする特定の理念に偏るあまり、我々が直面していた客観的現実を正しく把握できないでいる」とし、「民族・民衆を語るあまり、我々は今、国益を追求する能力さえも失ってしまった」と語った。

 崔教授は4年前に定年退職した後、ソウル道谷(トゴク)洞に2坪余りの小さな研究室を構え、毎日午前9時から午後6時まで韓国近現代史の研究に没頭している。次は崔文衡教授との一問一答。

―高校の近現代史教科書について民衆・民族理念に偏った教科書だと評価していらっしゃいますね。

 「開港後、朝鮮がどのように亡んでいったのか、国際関係の観点からはほとんど言及されていません。外部の衝撃(impact)がなかったならば、民族・民衆運動が起きたでしょうか。教科書を読みながら、腹が立ってどうしようもありませんでした。民衆・民族・改革だけに偏ったあまり、韓国史を世界史的観点から解釈しようとするする努力が見当たりません。歴史を理念に無理やり合わせたら、それはもはや歴史ではありません」

―具体的にはどのような点が問題なのでしょうか。

 「金星(クムソン)出版社の教科書をご覧になってください。1850年からの60年間に約60ページを割いて説明しています。東学農民運動(1894年、東学という新興宗教を中心に全羅地域ではじまった外部勢力排除を叫んだ農民運動)に関しては何と9ページも費やしているのに、いざ日清戦争と日露戦争に関しては記述がまったくありません。“日本が日露戦争に勝利することにより、大韓帝国政府の改革は中断した”というたった一節が全部です。日清戦争と日露戦争は韓国の国権を侵害した決定的な契機です。戦場も厳密に言えば韓国の領土でした。ところが、教科書は民衆運動に執着するあまり、このような重大な事件から目をそらしています。その結果、侵略戦争を侵略戦争と言えない教科書になってしまいました。明成皇后殺害も“日露戦争の序曲”という国際的な観点から見ることで、本質に接近することができるのです」

―しかし、歴史教育はある程度民族主義的にならざるを得ないのではないでしょうか。

 「民族史学者である李基白先生は他界する2週間前に病院を訪れた後輩の歴史学者らに、遺言ともとれる言葉を残しました。“今日、民族を至上とする傾向が広く流布している。しかし、民族は至上ではない。この点に関しては民衆も同じだ。学問では真理が『至上』だ。真理に背ければ、民族であれ民衆であれ破滅を免れない。”最近の韓国史学界が胸に刻まなければならない言葉だと思います」


崔文衡漢陽大学史学部名誉教授 ▲ 崔文衡(チェ・ムンヒョン)教授

 1961年から40年間、漢陽(ハニャン)大学史学部で教鞭をとった。ソウル大学史学部と大学院を卒業し、西江大学で英国経済史で博士学位を取得。1989年に歴史学会会長を務めた崔教授は、学会が開かれる毎に「国史・西洋史・東洋史に分かれている歴史学を統合すべきだ」と主張している。2001年に退職し、いっそう精力的に著述活動を行っている。『韓国を取り巻く帝国主義列強の角逐』『国際関係から見た日本の韓国併合』などを執筆している。2001年に著した『明成皇后(閔妃)殺害の真相を明かす』(邦題『閔妃は誰に殺されたのか―見えざる日露戦争の序曲』)は、大江志乃夫氏をはじめとする日本の代表な左翼学者らの「日本政府不介入」を全面的に反駁するもので、日本でも大きな反響を呼んだ。

朝鮮日報 2006/01/15 17:36

【教科書】「われわれは日本についてきちんと勉強しているのでしょうか?」
韓国歴史学の重鎮・崔文衡教授に聞く(中)

崔文衡漢陽大学史学部名誉教授 ―近現代史の教科書が民衆・民族に偏るようになった理由は何ですか。

 「先代にはやむを得ない面もありました。国民に勇気を与えなければならないので、民族を強調することもあったのでしょう。また、右翼が強力で、歴史の解釈が非常に偏ったのもひとつの理由でしょう。しかし、今は反対に左に振れ過ぎてしまいました」

―韓国の歴史教科書が左翼による歴史解釈ということですか。

 「そうです。左翼の歴史を捉える特徴は“もし、あの時こうであったなら、歴史は変わっていた”という風に見ることです。常識的な話ですが、歴史に“もし(if)”はあり得ません。歴史に対して誤った見方をしているのです。しかし、韓国の左翼は日本の左翼と比較した時に大きな違いがあります。日本の左翼は自分の国家は否定せずにむしろ擁護しますが、韓国の左翼は大韓民国を否定しています」

―民族・民衆を強調する歴史教育の最も大きな弊害は何ですか。

 「民族と民衆にだけ執着すれば、当面の懸案を疎かにしまいがちになります。現在、日本とは明成皇后殺害と独島問題、中国とは間島問題などが懸案になっています。ところで、われわれは日本に関してきちんと勉強していますか? 偏見を植え付けるのも問題ですが、国益を損なう教育になっています。どんな人であっても、国家を評価する時は功罪をバランスよく見なければなりません。韓国の教科書は暗に反米感情を煽っています。侵略者だったというやり方です。しかし、当時の米・英・仏・ソ・日などの帝国主義国家の中で、侵略しなかった国家はどこもありません。感傷的な民族民衆主義によって、この国が直面していた現実を客観的に見ることができなくなっています」

―韓国史学界に対する根深い不信感も吐露なさいましたね。

 「韓国史が麻痺しています。歴史に対しては冷徹でなければならないのに、民族・民衆を語ると妙にかしこまってしまいます。韓国史学者らの間では、韓国史は韓国の資料を通じて研究しなければならない、といった考え方が支配的です。しかし、帝国主義時代には地球上どの国といえども、外部世界と断絶したままの存在などありませんでした。韓国の歴史も同様です。開港以降は列強らの対立と角逐の複合的関係があったのに、国史学界は世界史的視角が欠如しています。偏向した知識だけを追求していては、国益を追及することはできません」

朝鮮日報 2006/01/15 21:24

【教科書】「執筆陣を替えても問題は解決しない」
韓国歴史学の重鎮・崔文衡教授に聞く(下)

崔文衡漢陽大学史学部名誉教授 ―最近教育部が「近現代史の教授・学習資料」を全国の高校に配布しました。インターネットでも公開されましたね。教科書フォーラムはこれを批判する声明書を出しましたが。

 「その“指針”にも問題が多いです。一例をあげると、李承晩(イ・スンマン)や朴正熙(パク・ジョンヒ)を始めとする大統領の写真はないのに、どうして北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)の写真は掲載されているんですか。金正日がどんな人間ですか。父親から権力を継承し、今度はそれを自分の息子に継承させると言っている権力者じゃないですか。地球上にこんな国がどこにありますか。その背景は大韓民国の否定にあります」

―執筆陣を替えれば解決する問題ですか。

 「すでに、韓国史学界内でいくら執筆陣が替わっても結果は同じという状況になってしまいました。学者らが代々独立運動史に関心を集中させている間に、開港期から1910年までの歴史は無主空山(所有主のいない山)となりました。1980年代に民族民衆運動は学生運動の教材に使われたりしました。そのように学んだ若者たちが今や各大学の教授クラスに成長しています」

―望ましい歴史教育のためには何が必要ですか。

 「韓国史・西洋史・東洋史学部に分かれている主要大学の学部を史学部に統合すべきです。世界中どこにもこのように分けているところはありません。それから、教科書執筆者だけでなく、作成者を含めたすべての教科書関連者の実名化が重要です。国益のために教科書は必ずや正さなければなりません。私はいつでも討論する用意があります」

―もともと西洋史を専攻していらしゃいましたが、韓国の近現代史に関心をもつようになったきっかけは何ですか。

 「もともとは英国経済史を専攻しました。海外植民地を広げていった帝国主義の歴史を勉強しました。研究を続けるうちに、韓国がどのように侵略されたかを知る必要があるという思いにかられ、30年前の助教授時代に研究を始めました。定年退職後に書いた韓国近現代史の本だけでも3冊になります。すべて日本で翻訳出版されていますが、韓国より日本で多く読まれているという現実が残念です」

中央日報 2006.01.19 19:59:58

【社説】大韓民国を蔑む教科書をなぜ放置するのか

 ハンナラ党汝矣島(ヨウィド)研究所の主催で18日開かれた「教科書歪曲問題に関する国民大討論会」で提起された高校用「韓国近・現代史」教科書の内容を見ると、生徒への歴史・社会教育が非常に憂慮される。 この日「教科書、何が問題か」という発表文で、「大韓民国の産業化は‘歪んだ近代化’とし、失敗した北朝鮮体制については友好的・中立的に接近するなど事実を歪曲しており、価値の混乱を招く」と指摘した。 例えば、セマウル運動は「朴正煕(パク・ジョンヒ)政府の維新体制を正当化するのに利用されたりもした」とし、北朝鮮の千里馬(チョンリマ)運動に関しては「50年代後半から60年代前半にかけて、社会主義経済の建設に大きな役割を果たした」と評価している。 李承晩(イ・スンマン)政府、朴正煕(パク・ジョンヒ)政府、韓国の三清教育隊など韓国現代史は辛らつに批判しながらも、政治犯収容所、人権弾圧、失敗した経済など北朝鮮の問題点には沈黙している、と明らかにした。 誰が見ても歪曲されたという批判は避けがたい。

 教科書は国が定めた公式教材だ。 憲法基本理念の「自由、民主、人権」という普遍的価値を教え、成熟した市民を育成することに基本目標がある。 このため教科書は教育人的資源部・韓国教育課程評価院の検定・認定で決定する。 検定・認定基準は憲法精神の一致、内容の普遍妥当性など4つだ。 「憲法の精神」では「大韓民国体制を否認したり誹謗する内容、特定国家・宗教・階層を不当に宣伝・待遇したり歪曲した点」を審査する。 しかし憲法の精神にも反し、普遍妥当性も落ちる教科書がどうして検定・認定を通過したのか分からない。

 結局、政権の理念に便乗してこうした教科書が検定・認定を通過したのではないかという疑いを抱く。過去にも政権が教科書を政権の正統性のために悪用したことがあるからだ。 盧武鉉(ノ・ムヒョン)政府に入ってからは主に‘思想論争’だった。 「企業・市場経済を否定的に記述した経済教科書が反企業・反市場情緒の主要原因」という指摘を受けたりもした。 大韓民国を蔑み否定する教科書で教育を受けた未来の世代がどう育つかが心配だ。 この機会にすべての教科書の内容を検証して修正しなければならない。

朝鮮日報 2006/02/02 07:13

【社説】「解放戦後史の再認識」の必要性

 386世代(80年代に大学に通った、現在30歳代で1960年代生まれの世代)の「教科書」ともいえる『解放前後史の認識』(俗称「解・前・史」)の偏向性を指摘した『解放戦後史の再認識』という本が来週出版されるという。

 『解放戦後史の再認識』は、左派民族主義にかたよった立場から大韓民国の建国を批判し、大韓民国の現代史を外部勢力に左右された暗い歴史と記述した「解・前・史」の古い理念に正面から立ち向かい、「理念に左右されず、バランスの取れた見方で歴史を見る」という主旨を掲げている。

 1930年代から1950年代までの政治・経済・社会・文化、あらゆる分野をまとめ、分量は700ページの本2巻、収録論文はなんと28編に及ぶ。

 1979年初めて出刊された「解・前・史」は386世代の意識を変えてしまった本であり、その意味で盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権を誕生させた遠因となった本に挙げられる。

 独立以降、親米右派が力を得ていく過程で、民族自主勢力が挫折し、李承晩(イ・スンマン)による南側の単独政権樹立が分断の永久化をもたらしたというこの政権の大韓民国歴史観は、これに根ざしている。

 大韓民国の歴史を「正義が敗れて日和見主義がはびこる歴史」と規定して、国民に衝撃を与えた盧大統領自らも、弁護士時代にこの「解・前・史」を読みふけったと打ち明けたことがある。

 こうした歴史認識は、北朝鮮が李承晩が単独政権樹立の意志を明らかにした、いわゆる「井邑演説」よりはるかに以前に事実上ソ連の差し金で北朝鮮単独政権の枠組みが作られた事実を見過ごし、数多くの独立運動勢力のうちソ連軍の保護を受けた金日成(キム・イルソン)系の武装勢力だけを正統視したものだ。

 こうした故意の歴史歪曲と一方的歴史解釈が、その時代の大学生と一部在野に受け入れられたのは、軍事独裁とその延長線上で起きた「光州の悲劇」のせいだった。

 現政権の核心を成している勢力は、依然として「解・前・史」を大韓民国の正史であるかのように勘違いして、「大韓民国は間違って生まれた国家」という否定的歴史観をそのまま持っている。

 それだけではなく、一部の386教師らは、現在も27年前に登場した「解・前・史」の剥製化した左派の歴史観を幼い生徒たちにまでそのまま植え込んでいるのが現状だ。

 これは、「解・前・史」の問題を知りながらも見過ごした主流学界の無責任な態度と怠慢の責任も大きいと言わざるを得ない。そうした意味で、遅ばせながらも知識人たちが「解・前・史」の偏向性を是正する本を通じて、若い世代にバランスの取れた視線で大韓民国の過去と現在を眺められる機会を設けたことはせめてもの幸いといえよう。

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