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黄禹錫教授の幹細胞研究倫理疑惑報道に逆切れ
政治家・市民はジャーナリズムを拒否

朝鮮日報 2005/12/06 10:07

黄教授研究グループ、日本の研究グループに先を越される

 黄禹錫(ファン・ウソク)教授研究グループが、MBCの時事番組PD手帳の「脅迫・懐柔取材」に悩まされている間、日本が幹細胞関連分野で、これまた世界初となる研究論文を発表した。この論文は黄教授研究グループも準備していた内容であり、惜しまれるところだ。

 今月5日、黄教授研究グループによると、黄教授研究グループは最近、犬の自然交配受精卵から幹細胞を培養するのに成功したものの、このところ外部からの要因で支障を来たしたことによって研究が進められず、論文を掲載することができなかった。

 その間、日本の大阪県立大学の研究グループが自然交配で入手した受精卵から幹細胞を培養するのに成功したと先月16日、国際学術誌「Molecular Reproduction and Development」(分子再生及び発達)に掲載した。

 ソウル大学・獣医科大学の?柄千(イ・ビョンチョン)教授は、「われわれがこまを10進めたとすれば、日本の研究グループは5つ進めた程度」とし、「世界最高水準のジャーナルへの発表に向けて準備していた途中に、最近の論争によって事実上中断していたが、その間に日本が、ややレベルの低いジャーナルに発表してしまいがっかりした」と遺憾の意を表明した。

 犬は、卵子の操作が容易ではなく、これまで体外受精も実現していなかった。幹細胞の培養の可能性も現実味がなかった。黄教授研究グループは今年8月、世界に先駆けてクローン犬のスナッピーを発表した際、「クローン犬の作製の目的は、幹細胞の治療効果を調査するためのモデル動物の作製」と述べた。

 その後、黄教授研究グループは、自然交配してから8日が過ぎた雌の犬から受精卵を採取した後、ここから幹細胞を分離して培養に成功した。李教授は、「犬は容易に人間になつくので、脊椎を痛めた犬に幹細胞を注入し、『座って、立ち上がって』と指示すると治療の効果をすぐ確認できる」とし、「クローン犬づくりを通じて特定遺伝子を持った犬を作製し、犬の胚性幹細胞を培養して疾病治療のモデルとして活用する計画だった」と明らかにした。

 黄教授研究グループの関係者は、「サイエンス誌とネイチャー誌で今年発表された論文に匹敵する 『大きな件』が、現在2つもあるのに、国際ジャーナルに提出すらできていない」とし、「蓄積しているデータを分析して、追加の実験をするかどうかを決めなければならない時期に、黄教授が研究室を離れ、研究がはかどっていない」と述べた。

 クローン胚を使った胚性幹細胞研究分野にもっとも積極的な姿勢で取り組んでいる米国は、不妊治療の後、残った胚から抽出した胚性幹細胞による研究を最近容認したのをはじめ、今年6月、ハーバード大学の倫理委員会は、クローン胚を使った人間の胚性幹細胞培養の申請を承認した。

 米国のACT社のホセ・シベリ博士は2001年、世界に先駆けてヒトクローン胚づくりに成功しており、ウィスコンシン、ミズーリ、UCデービス、テキサスA&M大学などが、さまざまな動物のクローン作りに成功した。

 英国も今年5月、スコットランドのエジンバラ大学研究グループが、ヒトクローン胚の作成に成功しており、8月には世界に先駆けて人間の胚性幹細胞から純粋な神経幹細胞群の作製に成功した。

 昨年8月、英国のニューカッスル大学のミオドラッグ・ストコビッチ博士研究グループは、世界に先駆けてヒトクローン胚研究の許可を政府から受けた。クローン羊のドリーのイアン・ウィルムット博士も今年2月、政府からヒトクローン胚の研究承認を受けた。

 オーストラリアもクローン胚大国のひとつ。モナシュ大学の研究グループは、動物のクローン胚作製から得た成果に基づいてヒトクローン胚を使った幹細胞研究において、すでに世界的な水準に到逹している。

 スペインは最近、年間5000億ウォンを使う再生医学研究所を設立しており、アジアでは、日本の京都大学研究グループが昨年6月、ヒトクローン胚研究が許可されたことをきっかけに、研究が本格化した。日本政府は今年の1年間、10億円(およそ100億ウォン)を投入することにした。

 中国も、特有の物量攻撃に乗り出している。 ?柄千教授は、「中国のある国営企業を訪問したところ、幹細胞研究向けのサルを6000頭も保有していた」と驚きを表明した。

中央日報 2005.12.05 17:19:21

盧大統領「黄教授研究の検証問題、この辺で片付けるように」

 青瓦台(チョンワデ・大統領府)の金晩洙(キム・マンス)スポークスマンが伝えたところによると、盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領は5日、ソウル大・黄禹錫(ファン・ウソック)教授の研究をめぐった議論について「研究成果に対する検証問題は、この程度で片付けてほしい」と話した。

 盧大統領は、首席補佐官会議でこのようにコメントした後「同問題は今後、黄教授の研究過程で自然に証明されるだろう」とした。盧大統領は「研究過程で黄教授と研究陣が受けたはずの苦痛について慰労の言葉を伝えたい」とし「黄教授は早期に研究の場に復帰し、研究結果を待っている数多くの難病患者と国民に希望を伝えてくれることを期待する」と話した。

 また「政府は黄教授チームのヒト胚(はい)性軒細胞(ES細胞)の研究日程が順調に進むよう、今後も支援していく方針」と強調した。金スポークスマンは「別の懸案である民放MBCテレビ(文化放送)の責任問題をこの程度で片付けよう、ということではない」と説明した。

崔勲(チェ・フン)記者 <choihoon@joongang.co.kr>

中央日報 2005.12.05 17:49:54

科学研究をマスコミがどう検証できるか、政界もPD手帳を非難

 政界は5日、民放MBCテレビ(文化放送)の番組『PD手帳』がソウル大・黄禹錫(ファン・ウソック)教授の研究成果への検証を行う、としたことについて「マスコミが、科学的な研究への検証を行う、としたこと自体が誤っているもの」と非難した。

 黄教授を支援する与野党議員ら30人余は、6日に準備会を開き今後の活動について協議することにした。準備会には与党「開かれたウリ党」(ウリ党=「わが党」との意)の金ヒョッ珪(キム・ヒョッキュ)議員と野党ハンナラ党・金炯オ(キム・ヒョンオ)議員などが出席する予定。ウリ党・元恵栄(ウォン・ヘヨン)政策委員会議長は「科学的成果は科学界が自ら時間をかけて冷静に検証するのが原則」とし、PD手帳を批判した。

 同党・田炳憲(チョン・ビョンホン)スポークスマンは「MBCが誤りを認め、謝罪したのは幸い」とし「ES細胞研究への検証は科学界に任せよう、というのが大半の見方」と話した。ハンナラ党・李揆沢(イ・キュテック)最高委員は「取材源を恐喝、脅迫したというが、ジャーナリストとしての倫理的資質を疑わざるを得ない」とし、MBCに責任を追及した。

 黄教授チームのES細胞作製の過程に関連した倫理問題を提起し、ネチズンから激しく非難されている民主労働党・沈相ジョン(シム・サンジョン)議員団首席副代表は「民労党は研究の真偽問題に触れたことがない」とし「真偽問題は、黄教授チームが『科学界が認める透明かつ客観的な手続き』を踏んで明らかにすべき」だと話した。

李哲煕(イ・チョルヒ)記者 <chlee@joongang.co.kr>

東亜日報 DECEMBER 05, 2005 07:09

[社説]幹細胞研究、破局を防がなければならない

黄禹錫(ファン・ウソク)教授チームの研究に対するMBC放送『PD手帳』の問題提起が、波紋を広げている。MBCはこれまで、黄教授チームの研究成果の核心である幹細胞の信頼性に疑惑があるとし、国立科学捜査研究所などに検証を依頼した。この検証自体に問題があるという指摘が出るや、MBCは、黄教授チーム研究員たちの「重大証言」を6日に放送することを明らかにした。しかし、MBCが取材したという金ソンジョン研究員は、昨日放送されたYTNとのインタビューで、「黄教授の論文に問題があるという内容を言ったことはない」と反論した。逆に、『PD手帳』の信頼性が疑惑を生むことになった。

『PD手帳』が卵子提供をめぐる倫理疑惑を提起したことは、マスコミの社会的役割の範囲内であると見ることができる。しかし、MBCは取材の過程で、取材源に嘘や脅迫、恐喝をしたという事実が、研究員たちの肉声を通じて明かになりつつある。MBCは、「セルラインがにせ物と判明し、黄教授は拘束されるだろう」とし、「正直に話せば、研究員の進路に対してソリューション(解決策)を出す」と、懐柔までしたという。


その上、取材源に取材の意図を正確に明らかにせず、隠しカメラを動員するなど、MBCの放送綱領にも違反した。基本的な取材原則を破ったことはもとより、非倫理的な方法まで動員して、「事実」をつなぎ合せようとした理由と背景は何か。世界的な研究成果に対して、MBCが最終審判を下そうとする態度も、憂慮しなければならない。黄教授チームの倫理問題を提起してMBCに対する非難が殺到するや、社運をかけて、幹細胞が「にせ物」だと無理に追いやろうとするのではないか、という疑念さえ抱かせる。


黄教授チームの幹細胞研究は、世界の科学界が認めた成果である。『サイエンス』誌は、黄教授の研究成果に疑問を提起する証拠がないことを明確にした。もし、黄教授チーム研究に問題があるならば、それは科学界が検証することである。MBCが、自救策として繰り返し問題を提起し、結論まで下そうとすることは、正しい姿勢ではない。科学の発展にも役立ちはしない。今は、黄教授チームがより意味のある研究に取り組めるよう知恵を集めなければならない時である。

朝鮮日報 2005/12/02 20:34

ES細胞真偽論争報じたMBC『ニュースデスク』に抗議相次ぐ

 『PD手帳』の放送が波紋を呼び、同番組のスポンサーが降板した事態が、MBC全体に飛び火する兆しを見せている。

 MBCは1日、看板ニュース番組『ニュースデスク』で黄禹錫(ファン・ウソク)教授チームのヒト胚性幹細胞(ES細胞)の真偽に関する論戦を詳しく報じた。

 放送直後MBCの掲示板には「とうとうニュースまで黄禹錫叩きか?」、「ムカついてテレビ見れない」など、ネチズンらの批判コメントが大量に書き込まれた。ネチズンらはニュースデスクの報道に強く反発し、『PD手帳』に続きスポンサー降板運動を始めた。

 ネチズンらは、掲示板にニュースデスクに広告を提供している企業のリストと連絡先を載せ、抗議電話をすることを勧めている。また各種ポータルサイトと関連ニュースにもスポンサーのリストを載せ、広告の中断を促している。

 ニュースデスクの一部スポンサーは2日午後会合を開き、企業イメージの失墜を防ぐため、当分の間MBCでの広告を中断することなどについて話し合ったという。ニュースデスクのスポンサー企業は一日中かかってくる抗議電話の対応に追われた。

朝鮮日報 2005/11/27 12:19

「MBC、授歪曲報道謝罪せよ」 黄禹錫教授ファンクラブ会員らキャンドルデモ

歌手キム・ウォンレさん(左)(写真=NEWSIS)  黄禹錫(ファン・ウソク)教授ファンクラブカフェ(インターネット同好会)の「アイラブ黄禹錫」の会員50人余と歌手キム・ウォンレさんらは26日午後、ソウル・汝矣島(ヨイド)のMBC社屋前でキャンドル集会を行い、2時間余に渡る沈黙デモを行った。

 会員らはインターネットカフェで「MBC側は22日放送の『PD手帳』で黄禹錫教授に対する歪曲された内容を報道し、国益を損なった」とし、「これに対し28日まで公式的に謝罪し、番組制作の関係者を問責せよ」と求めた。

 また、「今後、署名運動を開始する予定で、MBC側が謝罪しなければ、この番組はもちろん、9時のニュースの時間帯のスポンサー企業に対する不買運動、MBC視聴拒否運動も行う」とした。

朝鮮日報 2005/11/25 16:24

MBCピンチ、卵子売買疑惑報じた『PD手帳』に抗議殺到

 MBCは全般的な視聴率不振に悩む中、黄禹錫(ファン・ウソク)教授研究チームの卵子入手問題を報じた時事番組『PD手帳』が大きな波紋呼び、MBCは開局以来最大の危機を迎えている。

ドラマをはじめ、すべての番組で視聴者離れがすすむなか、『PD手帳』の報道で黄教授が全ての公職から退く事態まで起きると、視聴者らの怒りが爆発。チャンネル・ボイコット運動までつながりかねない雰囲気だ。

 MBCの掲示板には「放送局がつぶれる日まで不買運動する」、「PD手帳制作陣を国家保安法に基づいて処罰せよ」、「黄教授がノーベル賞を取れなかったら、全てのMBCのせいだ」など、過激な発言が殺到している。

国家の将来がかかった重大な問題で揚げ足取り、国益に莫大な損害を与えたことに対する責任をとらなければならないというのが多くの視聴者の意見。『PD手帳』の放送に対し、一部視聴者らは今月26日にMBC本社社屋前でキャンドル・デモを準備している。

MBCはドラマ『甘いスパイ』、『シンドン』、芸能バラエティ『日曜日、日曜日の夜に』のみ視聴率10%を超え、他の全ての番組が視聴率1ケタを記録している状況。問題とされているPD手帳放送後、MBCの視聴率はさらに落ちており、地上波の放送局なのかわからなくなるほどだ。

 『音楽キャンプ』の性器露出事件、『歌謡コンサート』の尚州(サンジュ)圧死事件、ドラマ『甘いスパイ』の陰部露出事件など相次ぐ大型の放送事故もMBCに集中している。来年はじめには再攻勢用に準備していたコ・ヒョンジョン主演予定のドラマ『俺が悪かった』まで脚本の問題で放映延期の可能性が取りざたされるなど、文字通り四面楚歌の状態だ。

 残念なことは、このような状況でもMBCが根本的な問題解決にとりかかるよりは、取り繕うことに汲汲としているということ。視聴者の怒りが鎮まる契機が準備されない限り、MBCは相当期間最悪の視聴率を記録し、ドロ沼から抜け出すのは難しいものと見られている。

『スポーツ朝鮮』

朝鮮日報 2005/11/25 16:19

黄禹錫教授報道に抗議 『PD手帳』スポンサー広告不買運動へ

 MBCの時事番組『PD手帳』にネチズンの抗議が殺到している。

 24日、黄禹錫(ファン・ウソク)ソウル大学教授が卵子採取問題と関連し、すべての責任を負い兼職から辞退するという記者会見を開いた後、ネチズンはこの番組のスポンサー広告に対し「不買運動」を繰り広げるとしている状態だ。

 現在、この番組の報道前後にCMを流している企業のうち、ウリム建設、DHLコリア、ピョンアン繊維、シンイル‐ハッピーランドマンションは契約期間の11月までCMを放送した後、12月1日からは中断することにした。

 国民(クッミン)銀行、ウリ銀行、メリッツ火災保険、香港上海銀行は顧客からの抗議の電話が殺到、CMをほかの時間帯に変える方案をめぐり、広告代理店との話し合いを進めている。

 番組の関係者は「現在、某銀行からCMの時間帯を変えて欲しいという連絡を受けたことをはじめ、CM中断を求める企業が相次ぎ、『PD手帳』には4社程度のスポンサー広告だけが残っている」とし、「ネチズンの不買運動が徐々に激しくなっている中、残りの4社もCMを続けるかどうか不透明な状態」とした。

 この番組は22日の放送「黄禹錫(ファン・ウソク)神話の卵子疑惑」で、黄教授の胚性幹細胞研究に使われた卵子が「売買された卵子」という主張を提起している。

中央日報 2005.11.25 18:08:50

「卵子疑惑」報じた『PD手帳』、12社のうち11社がCM中断

 ソウル大・黄禹錫(ファン・ウソック)教授が24日、研究員の卵子を使った事実などを認め、公職辞任の意向を表明して以降、黄教数を応援する声がインターネットなどに広がっている。自発的な卵子寄贈が急増するなど「黄禹錫を救う運動」が本格化しているのだ。

 ポータルサイト「ダウム」のコミュニティー「アイラブ黄禹錫」(cafe.daum.net/ilovehws)によると25日午後、卵子寄贈の意思を表明した市民は430人を上回っている。会見の直後200人以上が殺到したという。21日に設けられた「研究・治療目的に向けた卵子寄贈を支援するための集い」にも同午後まで450人余が卵子寄贈の意思を示した。

 半面、卵子疑惑を報じた民放MBCテレビ(文化放送)の番組『PD手帳』には、ネチズンの抗議が殺到している。一部ネチズンは「国益に背を向けた悪意的報道」とし、番組の前後に送っているCMの関連企業に圧力を加える電話までかけている。広告をやめろ、とのこと。実際、CMを放棄する広告主が相次いでいる。

 韓国放送広告公社によると、25日午後現在『PD手帳』の広告主12社のうち11社がCM中止を要請してきた。インターネットには、MBCテレビの視聴を拒否する署名運動までコミュニティーに登場している。MBCテレビを直接訪ねて抗議デモを行うのも計画中だ。ネチズンらは26日午後4時から6時まで、MBCテレビ前でろうそく集会を行う予定。現在まで約1700人が出席意思を表明した。

中央日報 2005.11.28 18:25:06

MBC『PD手帳』、全てのCMを中断

 盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領が民放MBCテレビ(文化放送)の番組『PD手帳』に関連、広告中断が相次いでいることについて懸念の意を示したが、そのコメントに効き目はなかった。

 韓国放送広告公社によると28日現在、12社の広告主が「広告中断」を要請した。公社側は「留保の立場を表明していた企業1社が同午前、最終的に広告中断を要請した」とし「結局『PD手帳』の前後のCM全てが中断された」と伝えた。ただし「放送当日(29日)まで受け付けるため、明日午後3時ごろ最終的な結論が出るだろう」と付け加えた。

 『PD手帳』は、ソウル大・黄禹錫(ファン・ウソック)教授の卵子関連疑惑を報じた後、ネチズンらの抗議が殺到していた。そうした状況で25日、11社の広告主が広告を中断する、との立場を示した。番組のCM全てが中断されるのは初めて。

李相福(イ・サンボック)記者 <jizhe@joongang.co.kr>

中央日報 2005.11.25 11:20:42

<黄禹錫教授謝罪>国際社会は受け入れるか

 これまでソウル大学黄禹錫(ファン・ウソック)教授研究に対し提起された倫理的疑惑が多くの部分で明らかにされた。

 研究員の卵子を使ったことや、卵子提供に金銭的対価が支払われた事実を、黄教授が認めたのだ。

 黄教授はこれに対して謝罪しているが、その波紋は簡単には収まらない見通しである。これまで黄教授が「倫理的な問題はない」としてきたのが1年半後に裏返してしまったことに対し、国際社会がどう受け入れるか、課題として残されることになった。

 しかし政府と専門家たちは一部倫理的欠陥があるとして黄教授研究の価値を棄損しようとすることには警戒しなければならないと注文する。

 また今回の波紋が、先進国に比べて相対的に不始末な科学者の倫理を正すきっかけにしなければならない上、黄教授が患者に合った形の幹性細胞研究に没頭できるよう支援しなければならないと提案する。

 ◇国際社会影響をさぐる=昨年5月、英国の科学雑誌ネイチャーはその年の2月、黄教授が米国の科学雑誌サイエンスに発表した研究論文に倫理的欠点があると報道した。研究員の1人が自分の卵子を提供したほか、ほかの1人も提供しているだろうというものだ。

 黄教授は直ちに研究員2人から提供の事実を確認したが、ネイチャーの記者には「どの研究員も卵子を提供した事実はない」と返事した。教授はその時点を正確に示さなかったが、ソウル大機関生命倫理委員会(IRB)調査では2004年5月末のことと明らかになっている。

 黄教授はその後も国内外で提起された疑惑に対して否認を一貫して通して来た。特に12日、米国ピッツバーグ医大のジェラルド・シャッテン教授が倫理疑惑を提起して共同関係を解消すると宣言した直後の16日、米国行き飛行機で本紙の記者に「疑惑はもたなくてよい」と話していたが、結果的にはこれまで「うそ」をついた形になった。

 黄教授が率直にこれを認めて謝罪したが、国際社会で信頼性に傷がついたのは事実だ。したがって韓国から科学者たちの研究成果を国際社会に出す際には検証がより厳しくなるなどの可能性が浮上する。

 ◇幹細胞研究に支障なし=今回の波紋から韓国が世界のトップを走る体細胞核移植幹性細胞分野の位相が落ちるかもしれないという憂慮があがっている。黄教授も記者会見でそう述べた。

 黄教授が今回の波紋に対し責任をとって世界幹細胞ハブ所長職を辞退し、ある程度は幹細胞研究に支障が生じることも避けられなくなる見通しだ。世界ハブは事実上、黄教授の作品だと言っても過言ではないからだ。

 世界幹細胞ハブの2つの軸は米国と英国だ。米国の核心支援者はピッツバーグ大ジェラルド・シャッテン教授だが、共同関係の解消を宣言したことから、誰がその代わりを務めることになるのかも関心事だ。英国も今回の事態にどのような反応を示すか、時間をかけて見なければならないだろう。

 世界幹細胞ハブのパートナーとして参加することになっていた米国の病院の一部は離れていった。

 ◇倫理水準を上げるきっかけに=黄教授は24日の記者会見で「ネイチャーの記者から電話をもらう前まで研究員が卵子を提供することが倫理的に誤りであることを(卵子を提供した)研究員自身が知らなかったし、実は私も知らなかった」と述べている。

 また「1964年に作られたヘルシンキ宣言があるというのも最近知った」と付け加えた。延世(ヨンセ)大学保健大学院医療法倫理学科のソン・ミョンセ教授は「1979年、英国で試験管ベビーが生まれたとき「人類が亡びた」と驚愕したものだが、結果はどうなったか」とし「生命工学というものは倫理問題を避けにくい点がある。あまり黄教授の今回の問題を一方的に批判することは慎んだ方がいい」と話している。

 ◇法的に倫理違反ではない=保健福祉部は黄教授会見以前である24日午前、ソウル大学獣医学部IRBの黄教授の調査報告書を発表した。ソウル大IRBは黄教授研究過程に提起された疑惑が生命倫理法とヘルシンキ宣言を違反していないと結論を出した。

 黄教授チーム研究員たちが卵子を提供したことは事実だが「研究熱に基づいた自発性によって寄贈したもの」という判定だった。ヘルシンキ宣言が研究員の実験参加(卵子提供含む)に対して「特別な注意」を要求しているが、参加を禁止するのではなく、慎重を期すようにという意味に解釈した。

シン・ソンシック記者 <ssshin@joongang.co.kr>

東亜日報 NOVEMBER 26, 2005 07:19

「黄禹錫教授を守ろう」、各界で活発な動き

ソウル大学の黄禹錫(ファン・ウソク、写真)碩座教授の卵子提供問題に対する立場表明記者会見の後、黄教授に批判的な団体や機関に対する非難が高まっている。卵子売買の疑惑を提供した「PD手帳」を放映したMBCや、批判的な声明を出した民主労働党(民労党)などに対する抗議が相次いでいる中、黄教授を助けるための動きが続々と広がっている。

25日、黄教授のファンクラブ・カフェーの「アイ・ラブ・黄禹錫(cafe.daum.net/ilovehws)」の会員数が2万5000人を越え、このクラブの運営陣は共同声明を通じて、△ヌリクン(ネチズンの韓国語)署名運動△PD手帳とニュース番組の広告拒否△MBCの視聴拒否などを展開すると発表した。

彼らは24日午後6時から25日午前4時まで、ソウル汝矣島(ヨイド)のMBC社屋の前でリレーの1人デモを展開したことに続いて、25日夜も1人デモを続けることにした。また、26日午後、汝矣島でロウソクデモも行う計画だ。

PD手帳の広告主11社のうち9社は、すでに広告をキャンセルしたり広告の時間帯を移す計画だ。

「黄禹錫スキャンダル」という論評を出した民労党ホームページの自由討論掲示板には、民主労働党に対する支持を撤回するという書き込みが相次いでいる。

一方、黄教授を支援しようとする動きはさらに活発になっている。25日午後まで「アイ・ラブ・黄禹錫」などには、卵子寄贈の考えを明らかにした女性が700人を越えた。「研究、治療目的のための卵子寄贈を支援するための会」側は、公式のホームページ(www.ovadonation.or.kr)を開いた。

また、トンサン般若会、仏教人権委員会、大韓仏教青年会、仏教生命倫理研究所など12の仏教団体は、「黄禹錫博士のための韓国在宅仏者らの集い」を立ち上げた。

東亜日報 NOVEMBER 26, 2005 07:19

CNN「ドクター黄、面目を失う」と報道

ソウル大学の黄禹錫(ファン・ウソク)教授が24日、研究員の卵子を使用した事実を否認していたことに対して謝罪記者会見をするやいなや、海外の各メディアは、謝罪の事実とこれまでの背景説明に焦点を当てて報道し、部分的には批判的なニュアンスを盛り込んだ。

米CNN放送は、「1ヵ月前までは黄博士は、世界初のクローン犬の誕生で世界的な名声を得て、クローン犬『スナッピー』は時事週刊誌『タイム』によって、2005年の最高の発明品に選ばれた」と紹介しつつも、「しかし、もはや黄博士は犬小屋の身だ(but now Hwang finds himself in the dog house)」と伝えた。「in the dog house」は俗語で「面目を失った」という意味にも使われる。

英BBC放送は、「幹性(ES)細胞に関する国際法はないが、科学界は黄教授のような事例を防止するために、厳格な規則を適用している」としながらも、英国立医学研究所のロビン・ロベルベッジ教授の言葉を引用して、「黄教授チームが行なった優れた研究は、今後も続けられるべきだ」と伝えた。同放送は、「しかし、倫理的問題も考慮しなければならない」とつけ加えた。

米ニューヨーク・タイムス紙は、「韓国の国家的宝として仰がれた黄教授の墜落は、世界に現代的な先端産業国家の姿を刻みつけたかった韓国にもダメージを与えた」としながら、「黄教授が、国際科学界で嘘をついたために、(黄教授の)米国への研究拡大計画にも暗雲が垂れこむ恐れがある」と予測した。

ワシントンポスト紙は、「黄教授が2名の研究員から卵子を採取したことは、国際科学界では、大変に非倫理的なことと考えられる」とし、「研究室の『上命下服』体制で、特に韓国のような国家では、微妙な強制の可能性があるためだ」と報じた。

フランスのル・モンド紙は、「6月、本紙の質問に対して黄教授は、『すべての提供者が同意した』と主張したが、大半の提供者は、実際に自分の卵子がどこで使われるかも知らなかったようだ」と批判的なニュアンスを含めて報じた。

ドイツのフランクフルト・アルゲマイネ紙は、「韓国政府は、黄教授は韓国の法や道徳基準に反していない、と慌てて発表した」と報道し、「しかし少なくとも、韓国の新しい生命倫理法によると、卵子への補償は禁じられているため、黄教授の心的動機は非難を浴びた」と報じた。

:朝鮮日報 2005/11/29 07:05

米タイム誌「韓国人の黄教授支持は非常に感情的な行動」

 黄禹錫(ファン・ウソク)教授の幹細胞研究の倫理性議論と関連して米国時事週刊誌「タイムズ」は27日「韓国人の黄教授支持は非常に感情的な行動」だと指摘した。

 「タイムズ」はインターネット版に掲載された「韓国人が黄教授を防御する理由」という記事でカトリック医科大学のク・インフェ教授の言葉を引用し「韓国人は倫理的議論のため科学の発展が阻害されうるという想いから非常に憤り、黄教授を擁護している」といい、このように主張した。

 タイムズは最近韓国で行われた研究用卵子の有償寄贈事実の公開、MBC放送局の番組「PD手帳」の放送とこれに対する抗議、黄教授支持者の卵子無償提供の殺到の動きなどを紹介した。

 「タイムズ」はしかし倫理論争過程で「韓国政府とマスコミが『韓国の科学が国際社会で信頼を失った』という本質を隠し正確に報道しないままでおり、国民を混乱に陥れている」と批判した。また「今回の事態で韓国の代表的な科学者が嘘つきとして判明し韓国の研究環境の醜い部分も明るみにでた」と指摘した。

 一方、黄教授が実験用卵子の採取と関連して自分の嘘を認めて以来、黄教授と協力しているイギリスの科学者らが協力の見直しを検討しているとイギリスの日刊紙「ザ・デイリー・テレグラフ」電子版が28日報道した。

 ロンドンの精神病研究所のクリスショー教授は「私たちは今回の事態が今後韓国の研究チームとの協力にどのような影響を及ぼすか検討する時間が必要だ。(世界初のクローン羊『ドリー』を誕生させた)エディンバラ大学のイアン・ウィルマット教授と私はこの問題を議論する計画だ」と述べた。

東亜日報 NOVEMBER 22, 2005 08:43

卵子寄贈20人あまりに補償金

ソウル大学の黄禹錫(ファン・ウソク)教授チームとともに胚幹細胞研究に従事してきたミズメディー病院の盧聖一(ノ・ソンイル)理事長は21日、「幹細胞研究用の卵子を寄贈した女性たちに補償金を渡した」ことを明らかにした。

これは、これまで「幹細胞研究に、売買された卵子は使っていない」という黄教授の発言を覆すもので、相当な波紋が予想される。

盧理事長は同日、ソウル江西区(カンソグ)西区ミズメディー病院で記者会見を行い、「2000年から2003年まで自発的に卵子を寄贈した提供者の他、20人あまりには私費でそれぞれ150万ウォン程度の実費を提供した」とし、「これは卵子を採取するのにかかった15日間の交通費と生計に支障を来たした機会費用の喪失を補償するレベルであり、適切だった」と述べた。

盧理事長は「彼女たちのうちには、他人の知りえない困難な事情や、経済的な事情をもつ人もいるが、その人の身の上については問わなかった」とし、「このような金銭的な代価支払いは、米国の場合300万〜500万ウォン、台湾は300万ウォン程度で合法的に行われている」と主張した。

盧理事長はまた、不妊患者から採取した卵子を患者の同意なしに研究に転用したことはなく、姙娠に成功して残った冷凍胚は適切かつ合法的に処理したと主張した。

しかし、このような行為は、研究用の卵子採取のさいの金銭的な補償を禁止している生命倫理法が発効(今年1月1日)される以前に行われたもので、法的には問題がないが、代価性のある卵子を利用して幹細胞の研究を行ったという倫理的非難は兔れにくいものとみられる。

盧理事長は「2002年に黄教授と共同で研究を始めた時点では、幹細胞そのものが新しいもので、卵子を探すのは非常に困難だった」とし、「後ほど(倫理的)論争が起きることはわかっていたが、黄教授と協議なしに単独で決めた事項だ」と付け加えた。

これについて、MBCは22日に放送する「PD手帳」を通じて、黄教授チーム研究員の卵子寄贈疑惑を提起した「ネイチャー」誌のシラノスキー記者に会い、当時の詳しい状況を報道する予定だ。

盧理事長は「黄教授は、初めて論文が出た時点では、補償性の卵子提供については知らなかったはずだ」とし、「このような事実を(黄教授に)いつ知らせたか、正確には憶えていない」と述べ、具体的な言及を避けた。

朝鮮日報 2005/11/24 10:19

「黄教授、女性研究員2名の卵子提供知っていた」

 黄禹錫(ファン・ウソク)教授研究チーム所属の女性研究員2名が卵子を提供し、黄教授も昨年5月末、この研究員らとの面談でこのような事実を知っていたことが判明した。

 保健福祉部は24日、ソウル大学獣医科大学研究倫理審議委員会(IRB)の「黄教授研究チームのヒト胚性幹細胞研究のための卵子提供問題自主調査」結果を発表した。

 IRBは研究員34名を対象に調査を行い報告書を作成した。IRBによると、この女性研究員2名は研究に進捗がない状況で、自発的に卵子を提供したという。

 また、同報告書は「2名の研究員以外の卵子提供はなかった」とし、「研究チーム内で暗に卵子提供を求める雰囲気もなかった」としている。

朝鮮日報 2005/11/24 11:02

保健福祉部「黄教授が法的規定・倫理準則に反した事実ない」

 保健福祉部は24日、ソウル大学獣医科大学研究倫理審議委員会(IRB)の調査結果を発表し、「黄禹錫(ファン・ウソク)教授が法的規定ならびに倫理準則に反した事実はない」という見方を示した。

 同報告書は「黄教授研究チームの卵子提供問題で法規定および倫理準則に反した事実はなかった」と規定し、その根拠として卵子提供が強要や暗黙の圧力によったものではなかったこと、営利目的の代価に基礎を置くものでもなかった点を挙げた。

 同報告書は「当時卵子提供のみ特定の倫理ガイドラインがなかったし、医学的実験時に援用されるヘルシンキ宣言の内容も、雇用、被雇用などの特殊関係である場合であったとしても(卵子提供時)内在的基準に立脚し、慎重を期したもの」とし、「今回の事案はヘルシンキ宣言に反しない」とした。

鮮日報 2005/12/05 07:53

【12月5日】脅迫取材

怯えるピッツバーグ大研究員ら

MBC『PD手帳』スタッフ
「黄教授に引導渡しに来た」
「早く吐きな!」

朝鮮日報 2005/12/06 19:19

卵子寄贈意思伝達式

 自発的な卵子寄贈者1000名突破を記念し、6日ソウル大獣医学科を訪問した卵子寄贈を誓約した女性らが安圭里(アン・ギュリ)教授の挨拶を聞き、涙を流している。

 韓国では、黄禹錫教授がノーベル賞を受賞すると信じられているので、どんな問題があっても黄教授を国家として全面的に擁護する方針で、国民の多くもそれを支持しているようだ。

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参考サイト

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幻影随想

[ EP: end-point 科学に佇む心と身体]