朝鮮日報 2005/09/16 07:45
大韓民国大統領の「帝国主義」攻撃
盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領は15日(韓国時間)、国連総会本会議の基調演説で「世界の多くの分野に残っている帝国主義的な思考と残滓を完全に清算しなければならない。そして、一部で再浮上している強大国中心主義的な傾向を警戒しなければならない」と述べた。
大統領は「国連のリーダーシップを象徴する安保理改革は、また違った形の強大国中心主義に陥ることなく、国際社会の和合を促進する方向で進められなければならない」と述べた。大統領のこうした発言は、拒否権を持つ安保理常任理事国を拡大しようとする一部強大国による試み、中でも日本の常任理事国進出を阻止しようという意志の現れであるようだ。
しかし大統領が強大国中心の安保理改編の進展を警戒しながら、なぜよりによって「帝国主義」という単語を取り上げたのか、理解に苦しむ。大統領が演説を通じて“20世紀最高の発明品”と持ち上げて見せた国連が、それより前に存在していた国際機関と違い、国際政治に最小限の現実的影響力を発揮することができた背景には、まさに大統領が指弾した強大国中心主義にあるからだ。
また大統領府スポークスマンが「特定の強大国を念頭に置いたものではない」と述べはしたが、9・11テロ以後に広がる新しい国際秩序の中で「帝国主義」という表現がどの国を指したものかはいかにも明白だ。
韓国は世界で11番目の経済規模を持つ国家であると同時に、12番目の交易国でもある。これは独立後の過去60年間、アメリカを軸にした国際秩序の中で、その体制の恩恵を充分に享受しながら成長して来た結果である。そして今後ともその秩序に身をゆだね、輸出に頼って国の活路を切り開いていくしかないのが現実だ。
大統領が自らの支持者たちの反対を押し切ってイラク派兵を決めたのも、やはりこの国の置かれた立場をはっきり認識したがゆえのことであろう。
そうした国の大統領が、全世界の170か国以上の国家首脳が集まった国際舞台で、韓国がこれまで頼りにしてきた、そしてまた今後とも頼りにしていくしかない国際秩序に対し、「帝国主義」という烙印を押すような発言をしてしまった。
公式の外交舞台で「帝国主義」のような直接的な表現を用いて強大国を責める国は、もう南米やアフリカでもあまり見受けられない。
それゆえ、この日の大統領演説を聞いた人々の口から「1950年代の中頃にチトー, スカルノ、ネルーといった当時の第3世界のリーダーたちが一堂に会して米ソ両国をひっくるめて攻撃したバンドン会議(アジア・アフリカ会議)を思い出した」といった感想が漏れたのだろう。
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