中央日報 2005.09.15 14:47:14
【中央フォーラム】悲壮な勝負の一手
日本の衆議院選挙で執権自民党の圧勝は政治の妙味を十分に見せてくれた。
小泉純一郎首相の衆院解散と総選挙という勝負の一手がぴたり的中したからだ。衆院解散当時は自民党が惨敗するという観測が有力だった。無謀な正面勝負をかけて「自滅」の道を選んだという分析だった。
どうして「賭博」をするのか。しかし小泉首相はそんな言葉も覆して歴代最高の圧倒的勝利を導き出した。それこそ手に汗を握るような大逆転の政治ドラマだったに違いない。
小泉首相の大逆転勝ちにはさまざまな要因があったはずだ。「郵政民営化」をを掲げた改革イメージや改革路線に逆らって党を飛び出した反乱派を狙い、刺客候補を立てた選挙戦略が奏功したという分析がそれだ。その通りである。
しかしこのような政治工学的分析は勝利の最も根本的な要因を見逃している。それはまさに日本経済の復興だ。万一、日本経済が10年不況に勝つことができないままだったら、小泉首相が果たして総選挙で勝つことができただろうか。いや衆院解散と総選挙という勝負をかけてきただろうか。経済再生に対する自信がなければ、彼は敢えて自分の政治生命に終止符を打つこともありうるカードを取り出す意欲さえ出にくかったはずだ。自分の執権期間中に経済を再生させたという自負心と、自分が追い求めて来た改革路線に対する確信こそ首相が乾坤一てきの政治的賭けをすることができた悲壮のカードだった。彼は選挙で勝つことができる確かなパイを持っていたのだ。
日本の第2四半期の国内総生産(GDP)統計は小泉勝負師の根拠を端的に示す。第2四半期の日本経済は最初の予想値1.1%の3倍である3.3%成長した。成長の内容も堅実だ。輸出にだけ頼った成長ではなく、消費と投資など内需が主導する安定的な成長構造に様変わりした。外国人による大挙投資で株価は急騰中。小泉経済改革に対する支持と期待感の反映だ。
小泉首相が推進する経済改革の核心は減税と規制緩和だ。「郵政民営化」は経済権力を官から民に委譲するという小泉式改革の象徴だ。民間主導、市場中心の経済体制を作るというものだ。減税と規制緩和は企業の投資意欲を引き立てた。これは企業の投資拡大−景気好転−雇用と所得の増加−消費促進につながる成長の先循環構造を生んだ。
では目を国内に向けてみよう。盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領は権力を丸ごと委譲するという連政という悲壮の賭けに出た。しかし否定的な国民世論とハンナラ党の外面にこのカードは第1幕から色褪せた。
実は盧大統領は就任以来、何度も多様な賭けをしてきた。弾劾政局に続く総選挙勝利のように正面突破に成功したこともあったが、北東アジアバランサー論や過去の歴史問題のように葛藤と対立ばかり増幅させたままうやむやになったことが多かった。
なぜか。まず悲壮の賭けは頻繁にするものではない。まさに絶体絶命のピンチに使うものであり、いつでも取り出すものではない。もうひとつは勝負の相手を思い違いすることがよくあるのだ。例えば政策をきちんと浸透させられずに支持卒が低いのに、
支持卒が低くて政策を広げにくいと誤解する場合がそうだ。原因と結果が前後すれば誤ったカードを取り出しやすい。
政治を正せば経済が生かされるといって政治改革に邁進することも思い違いの一例だ。経済再生という勝ちの一手を出さずに、関係ないところで勝負をかけているのだ。 何より盧大統領が賭けをするにしても賭けるパイがいまひとつだ。執権以後、経済はこれまで沈滞を脱することができていない。実績がおそまつだ。そこに改革では過去を壊そうというだけ。未来を開こうという小泉首相の改革にはまだまだ及ばない。
キム・ジョンス論説委員 <jongskim@joongang.co.kr>
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