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2005年衆議院選挙 小泉首相圧勝

聯合ニュース 2005/09/12 11:30

日本の総選挙で自民党圧勝、政界からは右傾化に懸念の声

【ソウル12日聯合】日本の総選挙で小泉純一郎首相率いる自民党が圧勝したことを受け、政界からは「日本社会の保守右傾化が確認された」とし、今後の韓日関係などへの影響を懸念する声が聞こえている。小泉首相の権力強化により、過去史わい曲、独島領有権の主張、靖国神社参拝など、両国間の摩擦を招いていた外交基調がそのまま維持される蓋然性が大きい上、公明党との連立政権により憲法改正に必要な議席数も確保されるため、平和憲法の改正問題が急浮上する可能性もあるとの判断だ。
 与党・開かれたウリ党の韓明淑(ハン・ミョンスク)議員は「小泉首相の独走が始まったとの懸念もあるが、その半面、余裕ある政策を展開するとの見方もある」と指摘、韓日関係がパートナー的関係として成熟し、北東アジアの平和に寄与する関係になることを願うと述べた。同党のペ基善(ペ・ギソン)事務総長は「自民党の勝利で右傾化の波がさらに強硬にならないか懸念があり、われわれとしては適切に対応すべきだ」と主張した。また、柳宣浩(ユ・ソンホ)議員は「日本の右傾化に追い風となったのは間違いないが、周辺国との対立を放置はしないだろう」とし、韓国が求めている過去史清算に逆行すると断定はできないとの見方を示した。

 野党ハンナラ党の金武星(キム・ムソン)事務総長は「日本の保守右傾化が確認された。小泉首相の賢明な選択と、韓国政府の適切な対応が求められる」と話した。KBS東京特派員の経験を持つ田麗玉(チョン・ヨオク)報道官は「小泉首相が力を得たことで、神社参拝強行など対外的にも極右的な姿を現す可能性があり懸念している」と述べた。

 民主労働党の洪丞河(ホン・スンハ)報道官も論評を通じ「小泉首相が独島問題、靖国神社参拝などについて従来の姿勢を維持し、平和憲法改正を加速化するものと予想され、懸念される」と述べるなど、各党とも韓日間の外交摩擦の原因となっている独島問題や靖国神社問題の進展は期待できないとの見方でおおむね一致している。

朝鮮日報 2005/09/12 10:12

小泉圧勝が意味するもの

 11日に行われた日本の衆議院総選挙で、自民党が全480議席中(小選挙区と比例区)単独過半数(241議席)を大きく上回り、300議席近くを確保した。

選挙前議席が212に過ぎなかった自民党は、単独政権が崩壊した93年以来初めて歴史的な大勝を挙げた反面、現有議席175を土台に一時は政権まで視野に入れていた民主党は120議席にも満たない惨敗を喫した。

 小泉総理に反旗を翻し自民党を脱党した候補者らも、かなりの数が苦杯をなめる結果となった。

小泉改革の最大の象徴である郵政事業民営化法案が否決され、議会を解散した1ヶ月前の予想はすべて完全にひっくり返された。

 小泉政権は発足以来、世界が‘日本発世界恐慌の雷管’になるのではと心配した天文学的規模の不良債権問題を、一部の批判を省みず一貫した政策を推し進めて解決した。

このような自民党の勝利は自民党が数十年間口では改革を叫びながらも、政権の支持基盤を揺るがしかねない、という党内の批判に押され、手をつけられなかった郵政民営化の決断に国民が高く評価した結果だ。

 郵政民営化とは、2万4000余の郵便局と360兆円の郵便貯金を保有する巨大な日本郵政公社(郵便局)を2007年まで民営化し、保険と郵便貯金を完全に民間に渡し民間金融を活性化させるものだ。

日本郵政公社の民営化は、伝統的に自民党の最大の票田と資金源としての役割を果たしてきた郵便局(職員28万名)組織の解体を意味する。党内の有力派閥は、自民党の政権基盤を自民党自らつぶす自害行為である攻撃し、必死の抵抗を繰り広げてきた。

効率を無視した経営にしがみついてきた労組と関連業界は既得権保護のため小泉批判に加勢した。

 日本の有権者は、このような状況の中で世界との競争で日本が生き残れる道は自民党と強硬な労組の擁護ではなく放棄であると判断し、小泉支持に回った。小泉政権は発足以来、外交政策において靖国神社参拝や歴史教科書歪曲に見られるアジア軽視、平和憲法の改定推進などの右傾化路線が周辺国の不信を買ってきた。

隣国の関心まで集めた日本の総選挙における小泉圧勝の意味を、国家の生き残る道とは関係のない‘政界の、政界のための選挙区変更’にのみ没頭している韓国の政界は、熟慮熟考しなければならない。

中央日報 2005.09.12 12:32:18

【社説】圧勝した小泉首相の外交変化に注目

 日本の総選挙で小泉純一郎首相の導く自民党が、改憲にもつながりうる記録的大勝をおさめた。

 自民党50年の歴史上、最大の圧勝だ。

 郵政民営化法案否決以後、衆院をいきなり解散した小泉首相の政治的賭博が成功を収めたのだ。

 今回の総選挙は「小泉劇場」というタイトルのモノドラマだった。小泉首相は選挙の争点を「郵政民営化=改革」「民営化反対=反改革」とした。有権者たちを相手に、議会で挫折した改革政策に力を貸してほしいと訴えた。

 自民党内反対派を敢然と追い出し、該当の地方区に女性候補を公認候補としてつけるなど興行性も高めた。その結果、小泉首相は改革的に映り、野党を保守的とするイメージ転換に成功したのだ。

 しかし問題は選挙後だ。今回の総選挙で理念と路線論争は姿をくらました。イメージの争いが幅を利かせただけだった。操作されたイメージは長続きすることができない。

 総選挙圧勝で小泉首相と自民党はいっそう右傾化に走るのは明らかだ。対外的に民族主義的色彩をさらに露骨化させるように思われる。

 小泉首相は選挙で発言した通り、再び靖国神社を参拝するのはわかりきったことだ。また米国のミサイル防御体制構築と並行して中国、北朝鮮を仮想の敵として軍費を拡大、今年の末に満了するイラク自衛隊派遣期限も延長するのは確実だ。憲法9条改訂を骨子にする改憲作業にも加速度がかかる見通しである。

 このようになれば北東アジア構図は再び揺れて、韓国や中国との関係もぎくしゃくするであろう。

 これからは選挙後の韓日関係を憂慮し対策を立てなければならないときだ。今回の選挙で日本特有の派閥政治は影を潜めてしまった。代わりに小泉首相の影響力が極大化し、自民党は「小泉党」に変貌しそうである。

 これ以上、韓日関係がこれまでような水面下交渉には頼れない状況だ。日本政府を合理的に説得し、日本内の世論を友好的に引き入れる一次元高い対日外交家が切実に望まれる。

中央日報 2005.09.12 21:02:32

【噴水台】 小泉

 彼のあだ名は「変人」だ。 変わり者、おかしな人という、それほどよくない意味だ。 10選の貫録の割に経歴は大したことがない。 自民党幹事長や大蔵相・外務相には一度も就かなかった。 厚生相や郵政相などの閑職をぐるぐる回った。 彼は最初にパーマをして議事堂に現れ、政治家最高の栄誉である衆議院25年勤続表彰と特典を拒んだ人物だ。

 日本政界で大樹会を知らない人はいない。 会員24万人の全国郵便局長出身者らが作った圧力団体である。 地域有志の会であり、自民党の最大票田でもある。 彼はこの大樹会を何ともなく切り捨てた。 「郵政省傘下の公務員26万人よりも日本国民1億人の方がもっと大切だ」とし、郵政民営化を押し通した。 彼とはまさに小泉純一郎日本総理である。

 日本政界で力を発揮するには、派閥と高級料亭への出入りは不文律だ。 彼はその時間に一人で本を読んだりヨーロッパ旅行を楽しむ。 離婚後23年間の独身生活が身に染み付き、食事も自分でつくる。 話し方は訥弁で、演説は5分を超えない。 今回の総選挙に女性キャスターなど美貌の女性刺客を公認した理由も簡単だった。 「美しい女性の涙ほど強力な武器はない」と。

 政界では変人として除け者にされるが、彼は国民の間では政界を覆す唯一の希望である。 彼の大衆的人気はここから生まれる。 彼の遊説場には投票権もない中高生までが集まり、デジタルカメラを向ける。 東京の自民党本部1階には彼のキャラクター商品コーナーが設けられている。 彼の人形が付いた約700円の携帯電話ストラップと顔写真が入った1200円のTシャツは人気商品だ。

 11日、小泉狂風が日本列島を襲った。 彼は日本初の「大統領型総理」に登極した。しかし周辺国は不安だ。 1991年、米国のダン・クエール副大統領が米軍の経費を取り上げると、彼は「出て行くのなら出て行け」とぶちまけた。 在日米軍が出て行けば、自主防衛にもっと気を配るということだ。 小泉式の外交は常にこういう形だ。 どこに向かうかは誰も分からない。 一人で悩み、破格的な決断を楽しむ。 良い意味で勝負師的気質だが、そばで見ると孤立無援将軍が翼まで付けた姿だ。

李哲浩(イ・チョルホ)論説委員

中央日報 2005.09.15 14:47:14

【中央フォーラム】悲壮な勝負の一手

 日本の衆議院選挙で執権自民党の圧勝は政治の妙味を十分に見せてくれた。

 小泉純一郎首相の衆院解散と総選挙という勝負の一手がぴたり的中したからだ。衆院解散当時は自民党が惨敗するという観測が有力だった。無謀な正面勝負をかけて「自滅」の道を選んだという分析だった。

 どうして「賭博」をするのか。しかし小泉首相はそんな言葉も覆して歴代最高の圧倒的勝利を導き出した。それこそ手に汗を握るような大逆転の政治ドラマだったに違いない。

 小泉首相の大逆転勝ちにはさまざまな要因があったはずだ。「郵政民営化」をを掲げた改革イメージや改革路線に逆らって党を飛び出した反乱派を狙い、刺客候補を立てた選挙戦略が奏功したという分析がそれだ。その通りである。

 しかしこのような政治工学的分析は勝利の最も根本的な要因を見逃している。それはまさに日本経済の復興だ。万一、日本経済が10年不況に勝つことができないままだったら、小泉首相が果たして総選挙で勝つことができただろうか。いや衆院解散と総選挙という勝負をかけてきただろうか。経済再生に対する自信がなければ、彼は敢えて自分の政治生命に終止符を打つこともありうるカードを取り出す意欲さえ出にくかったはずだ。自分の執権期間中に経済を再生させたという自負心と、自分が追い求めて来た改革路線に対する確信こそ首相が乾坤一てきの政治的賭けをすることができた悲壮のカードだった。彼は選挙で勝つことができる確かなパイを持っていたのだ。

 日本の第2四半期の国内総生産(GDP)統計は小泉勝負師の根拠を端的に示す。第2四半期の日本経済は最初の予想値1.1%の3倍である3.3%成長した。成長の内容も堅実だ。輸出にだけ頼った成長ではなく、消費と投資など内需が主導する安定的な成長構造に様変わりした。外国人による大挙投資で株価は急騰中。小泉経済改革に対する支持と期待感の反映だ。

 小泉首相が推進する経済改革の核心は減税と規制緩和だ。「郵政民営化」は経済権力を官から民に委譲するという小泉式改革の象徴だ。民間主導、市場中心の経済体制を作るというものだ。減税と規制緩和は企業の投資意欲を引き立てた。これは企業の投資拡大−景気好転−雇用と所得の増加−消費促進につながる成長の先循環構造を生んだ。

 では目を国内に向けてみよう。盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領は権力を丸ごと委譲するという連政という悲壮の賭けに出た。しかし否定的な国民世論とハンナラ党の外面にこのカードは第1幕から色褪せた。

 実は盧大統領は就任以来、何度も多様な賭けをしてきた。弾劾政局に続く総選挙勝利のように正面突破に成功したこともあったが、北東アジアバランサー論や過去の歴史問題のように葛藤と対立ばかり増幅させたままうやむやになったことが多かった。

 なぜか。まず悲壮の賭けは頻繁にするものではない。まさに絶体絶命のピンチに使うものであり、いつでも取り出すものではない。もうひとつは勝負の相手を思い違いすることがよくあるのだ。例えば政策をきちんと浸透させられずに支持卒が低いのに、 支持卒が低くて政策を広げにくいと誤解する場合がそうだ。原因と結果が前後すれば誤ったカードを取り出しやすい。

 政治を正せば経済が生かされるといって政治改革に邁進することも思い違いの一例だ。経済再生という勝ちの一手を出さずに、関係ないところで勝負をかけているのだ。 何より盧大統領が賭けをするにしても賭けるパイがいまひとつだ。執権以後、経済はこれまで沈滞を脱することができていない。実績がおそまつだ。そこに改革では過去を壊そうというだけ。未来を開こうという小泉首相の改革にはまだまだ及ばない。

キム・ジョンス論説委員 <jongskim@joongang.co.kr>