朝鮮日報 2005/08/17 09:47
反米スローガン続出 北朝鮮政治の宣伝舞台となった8.15民族祝典
光復(独立)60周年を迎え、南北がソウルで共同開催している「自主平和統一のための8.15民族大祝典」が「米軍撤退」「外部勢力の排撃」など、北朝鮮の主張を宣伝する舞台になっている。
ソウルの真中で、一部の北朝鮮寄りの労働・市民・学生団体参加者が北朝鮮式のスローガンである「在韓米軍撤退」を公然と叫び、甚だしくは16日には北側の代表団が南北分野別再開行事場で南側参加者が与えた「在韓米軍撤退!」と書いてある帯を振りながら、南側の参加者を扇動するにまで至った。
専門家らは光復60周年を前にしたこの行事が、国家の正統性を揺るがし、国家保安法を空文化し、「南南対立」をもたらすなど、大きな後遺症を残すだろうと指摘した。
祝典4日目の16日、ソウルオリンピックパークテルで開かれた「南北労働者連帯の会」で全国民主労働組合総連盟所属の「労働者統一先鋒隊」代表の2人は、北朝鮮代表に「在韓米軍撤退!」と書かれた帯と赤いハンカチを手渡しながら、「この地にいる在韓米軍を完全に追い出し、民族同士力を合わせて統一を果たそう」と訴えた。
これに対し、北側準備委員会のチェ・チャンマン労働分課副委員長は、「われわれの統一を反対しているのは“米軍”であり、これをわれわれ労働者が防がなければならない。統一先鋒隊が与えた“米軍撤退”という帯が米軍撤退を望む北・南の労働者の血を熱くする」と述べた。
同じ時間、農協中央会で開かれた「南北農民連帯の会」では、北側のキム・スンポク朝鮮農業労働者同盟副部長が「民族の統一大行進の前に横たわるもっとも大きな障害は、外部勢力の戦争策動であり、同族同士の戦いをもたらしかねないすべての侵略戦争演習を直ちに阻止しなければならない」と主張した。
慶熙(キョンヒ)大学の「平和のホール」で開かれた「南北海外青年学生連帯の会」では、北側のチョ・ヨンミン事務局長が、「生活のよりどころが戦争に脅かされている今、反戦平和の旗印を高く掲げて平和を守るために努力しよう。われわれ北側の青年たちは、 富国強盛と祖国平和のため青春を捧げながら、一度だりとも南側や海外の学生の皆様を忘れたことがない」と主張した。
これに先立って15日、民衆連帯、統一連帯、韓国大学総学生会連合などは大学路(テハンロ)で集会を行い、「在韓米軍撤退」「マッカーサーの銅像撤去」「韓米協力は要らない。民族協力を強化すべき」と主張し、全国民主労働組合総連盟の?秀浩(イ・スホ)委員長などは、「米軍は市民虐殺、権力簒奪(さんだつ)、民主主義抹殺の主犯」と述べた。
また、祖国統一汎民族青年学生連合(汎青学連)のホームページには、「偉大なる領導者の金正日(キム・ジョンイル)将軍さまへ」というタイトルで、北朝鮮を一方的に賛美する掲示物が掲載されるまでに至った。
世界に類を見ない北朝鮮の長期に渡る世襲独裁と住民に対する人権弾圧、韓国戦争当時の侵略による数多くの人命被害と離散家族、核兵器の開発による戦争危機の台頭などに対し、一言の問題提起も反省もなかった。
大韓弁護士協会の河昌佑(ハ・チャンウ)広報理事はこれと関連し、「国家保安法が有名無実となってしまった。南北の和解はいいが、現行法違反に目をつぶるのは望ましくない。こうしたことが守られてこそ国のアイデンティティーが確立する」とし、 ?Q在(イ・ギョンジェ)弁護士は「一連の発言は間違いなく現行法違反であり、統一と言えばすべてが容認されるという考え方も変えなければならない」と指摘した。
高麗(コリョ)大学の?浩?(ユ・ホヨル)北朝鮮学科教授は、「行事現場が政治闘争の場となったようだった。扇動と政治的宣伝はかえって統一への真摯な願いを呼び起こす上で逆効果をもたらす」と述べた。
この行事は政府が国民の税金で費用を提供し、国内の北朝鮮寄りの団体が支援する形で進められた。
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