朝鮮日報 2005/06/16 08:37
【特派員コラム】日本に責任問う北送被害者
北朝鮮による拉致被害関連団体が猛威をふるっている日本で、先日、北送被害の集いが結成された。
脱北帰国者支援機構という名のこの集いは、1950〜60年代に北送船に乗ったが、その後、北朝鮮を脱出し日本に帰って来た在日朝鮮人らと、その日本人妻を支援している。
北朝鮮に“人質”のいる大勢の在日韓国人がボランティアとして参加した。
同団体にボランティア参加しているハ・ビョンジュンさんはこのように話した。「北朝鮮にいる家族が被害に遭うのではないかと思い、これまで口に出せなかったが、これからは大声で言ってやるつもりです。北朝鮮の“地上の楽園”という宣伝に騙され、日本政府がそうさせのだから、これも拉致被害ではありませんか?」
またのボランティアは「北朝鮮に拉致され帰ってきた拉致被害者たちは一生を保障してくれているのに、死地から脱出してきた帰国者らはみな生活保護対象者として、極貧な暮らしを強いられている」とし、日本政府の措置に怒りを露にした。
同団体の代表を務める日本人 サカナカ・ヒデノリさんは先日記者に会い、この事に介入することになった機を説明しながら、「心残り」と表現した。もちろん、サカナカさんは在日朝鮮人の北送に直接関与した人物ではない。
彼の言う「心残り」とは何だろうか。10人余の拉致被害者問題を国際世論化し、数年も続けてきた日本政府が、それよりはるかに多い在日朝鮮人の北送被害問題には、なぜ一言も触れないのだろうか。
昨年秘密が解除された国際赤十字社の文書には、在日朝鮮人の北送当時、日本政府と赤十字社関係者の嘘と欺瞞、不真面目さが赤裸々に記されている。
「貧困に喘ぎ、共産主義思想を信奉する在日朝鮮人らを数万人単位で追い出したい。この計画は治安問題と在日朝鮮人の生活保護費負担軽減という財政上の問題を同時に解決してくれるはずだ」(日赤国際部長)。
「李承晩政権の反発を避けるためには、非政治的存在でありながら、人道主義的立場に立つNGO(国際赤十字社)の協力が絶対不可欠だ」(岸当時日本首相)。
初の北送船が日本新潟港を離れてから数日後、手紙が途切れるなどただならぬ事態が発生し始めたにも関わらず、日本政府はむしろ、北朝鮮政権に北送者の数を一週間に1000人から1500人に増やすよう要請した。
1959年末から1961年末までの2年間、計7万4779人の在日朝鮮人が“地上の楽園”の約束を信じ、日本を離れた。北送事業が終わった1984年まで約1800人の日本人配偶者を含め、計9万3340人が北朝鮮に送られた。
北送者の大部分は韓国出身だったので、北朝鮮には血縁も知人もいなかった。韓日の国交正常化が実現した1965年以後、北送された在日朝鮮人らは「不穏分子」、「親日」、「日帝のスパイ」だとし、弾圧を受けた。
そのうちの相当数は強制労働収容所に連行されたまま、消息が途絶えた。当時日本の新聞は在日朝鮮人の北送を熱烈に支持した。最近、北朝鮮糾弾に熱を上げている右翼新聞産経は社説で、「李承晩政権の圧力に屈することなく、在日朝鮮人の帰国事業を断固として決定した日本政府の人道的措置を高く評価する」と書いた。
日赤は北送事業推進に先立ち、国際赤十字社に「この事業により発生するすべての責任は日本赤十字と日本政府にある」とした。今や、その責任を公式的に認めるべき時が来たようだ。
東京=鄭権鉉(チョン・グォンヒョン)特派員khjung@chosun.com
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