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密告制度 全盛

東亜日報 DECEMBER 10, 2004 23:19

[オピニオン]「〜パパラチ」全盛期

今まさに韓国は「〜パパラチ」の全盛期だ。2001年に交通違反のドライバーをカメラに捉えて警察に届ける「カパラチ」が登場して以来、現在までに50余りの通報に対する褒賞金制度が設けられたためだ。スパラチ(ごみの不法投棄)、ポンパラチ(ポリ袋の無料提供)、食パラチ(食品衛生法の違反)から、選パラチ(不法選挙運動)、株パラチ(不正な証券取引)、課パラチ(高額の私教育)に至るまで、その種類も様々だ。インターネットでは様々な褒賞金の内容や通報の方法を専門的に教える有料のサイトも10個ぐらいあって盛んだ。「週末の2時間投資で月100万ウォンの収入保証」とのうたい文句が、経済の厳しさに疲れている庶民を惑わす。

◆今度は「性パパラチ」が登場するかも知れない。性売買を斡旋・強制するなどの犯罪を通報したり、監禁や人身売買の被害女性を助ければ、最高で2000万ウォンの褒賞金が支払われる制度が導入されたためだ。単純買春の場合は、警察に届けても報奨金はないという。しかし、いわゆる「9・24テロ」(9月24日に性売買特別法を導入したことを指す)にものおじしている一部の男性は、さらにおびえることになるだろう。風俗店などの周辺で目を光らせている「監視者」を意識せざるを得ないためだ。

◆通報褒賞金制度に対する見方は分かれている。賛成側は自主的な市民の参加により、不法行為が少なくなると同時に、犯罪に対する警戒を強める効果があると主張している。規制対象の分野があまりにも広く、政府だけでは対応し切れないとの現状も理由として挙げられる。これに対し、反対側は政府のなすべき仕事を、褒賞金を掲げて市民に肩代わりさせることは間違いだと主張する。専門的な「通報屋」の量産や人権侵害の恐れといった弊害も指摘する。

◆実効性の有無はともかく、こうした制度が数十に上る社会を健全とは言えない。人が人の不法行為を金で計算し始めると、結局は「万人の万人に対する監視」が一般化してしまう恐れがある。無差別的な監視は、社会構成員の間に不信感と対立だけを膨らませる。共通の価値を守ろうとする努力が、かえって共同体を害することにつながる。相互監視より効果が出るのは遅いが、市民の自律を強調する方策を見つけることが望ましいのではないか。

宋文弘(ソン・ムンホン)論説委員songmh@donga.com

朝鮮日報 2006/02/28 15:59

各種パパラッチが横行する韓国
【特集】監視社会化すすむ韓国(上)

 食堂を経営するキム某さん(43)は、区役所から送られてきた30万ウォンの過料の通知書を受け取って驚いた。先日、食事を済ませた客に紙コップに入れたコーヒーを手渡すキムさんの姿が、「盗撮」され、使い捨て用品を無料で提供した容疑で区役所に通報されたのだ。

 「店の中に、小さな自働販売機を設置し、お客さんが自分でコーヒーを取り出すセルフサービスを行っているが、あるお客さんから『この店の料理はうまい』との褒め言葉と共に、『コーヒーお願い』と言われ、私が直接コーヒーを渡したのが災いしました」

 キムさんは、褒賞金5万ウォンを狙った、いわゆる「パパラッチ」の罠にかかったのだ。「飲食店の従業員が紙コップのコーヒーを渡せば取締の対象になり、お客さんが自ら運んでくれば問題ないというのはおかしな話」と、キムさんは嘆いた。

◆食パラッチ、土パラッチ、税パラッチ…

 今、大韓民国では密告が日常となっている。政府の各部処(日本の省庁に当たる)や地方自治体が先を争って通報褒賞金制を新設したり、支給額の上限を上方修正し、褒賞金を「だし」にした政策がありとあらゆる分野に広がっている。

 現在、中央政府、地方政府が導入した通報報奨金制度はおよそ60種類に達する。現政権が発足して以来、全体褒賞金額の半分に当たるおよそ30種類が新設されるほど、通報褒賞金制度はますます脚光を浴びている。

 最近でも、今月23日に国会・財政経済委員会の租税審査小委員会が、国税滞納者が隠匿した財産を通報する者に最高1億ウォンの褒賞金を支給する国税基本法改正案(政府提出)を可決した。企画予算処は、これまで公務員に適用した予算の無駄遣い通報褒賞金制度を、今年から全国民を対象に拡大し、褒賞金も2000万ウォンから3900万ウォンに引き上げた。

 来月からは、首都圏などの土地取引許可区域から許可を受けているのとは違う用途で土地を使用している土地所有者を通報すれば50万ウォンの褒賞金を与える、いわゆる「土パラッチ」も実施される。法務部は、今年5月31日行われる全国地方選挙運動から違法な選挙運動行為を通報した者に支給する報奨金を現行の5000万ウォンから5億ウォンに引き上げる方針だ。

 褒賞金を狙うセミプロのパパラッチを指す呼び名も生まれた。「食パラッチ」(非衛生的な危害食品)、「捨パラッチ」(ゴミの違法投機)、「封パラッチ」(使い捨てのビニール袋)、「ノパラッチ」(カラオケボックスの違法営業)、「税パラッチ」(脱税の通報)、「選パラッチ」(違法選挙運動)などだ。

朝鮮日報 2006/02/28 17:11

「パパラッチで月収1000万ウォン」
【特集】監視社会化すすむ韓国(中)

◆パパラッチ養成スクールも登場

 政府と地方自治体が、各種の通報褒賞金制度を増やすと、「パパラッチ」で儲けようとする者を対象にした各種のインターネットサイト、専門のスクールも登場した。ソウル三城洞でパパラッチを養成するMスクールを経営しているムン・ソンオクさん(57)は、35万ウォンの受講料を受け取り、褒賞金を獲得するための理論や盗撮などの技術を、一日のコースで教育している。

 ムンさんは「熟練したパパラッチになれば、通報の褒賞金として一日50万ウォン、月1000万ウォン(約119万円)以上の収入が優に保障される」とし、「受講料は決して高くない」と主張する。

 ムンさんは、受講生にとって「褒賞金を受け取るための証拠確保には、店主、従業員の顔と店の商号が写るよう撮影しなければならない」と教えている。スーパーマーケットでビニール袋の値段を受け取らなかったことを立証するため、領収書も必ず受け取らなければならないという。

 ムンさんは、「街のあちらこちらにメシの種がある」とし、「スーパーマーケットなどで買い物をする際、ビーニル袋に入れてくれる場合が多いが、それをビデオで撮影すれば、1件当たり2万ウォンから50万ウォンまで受け取ることができる」と述べた。

 街の薬屋も、パパラッチのターゲットだ。ムン院長は光化門のある薬局に入り、1箱のドリンク剤を買い、店側が商品をビニール袋に入れてくれる様子を記録する過程を記者に実演して見せた。もちろん、薬局はビニール袋代を受け取らなかった。ムン院長が肩に担いだカメラには、そのすべての過程が収録されていた。

朝鮮日報 2006/02/28 17:15

通報褒賞金制度の功罪
【特集】監視社会化すすむ韓国(下)

◆市民監視か行政便宜主義か

 政府が様々な分野でパパラッチに褒賞金を支給するのは、公務員がアプローチできない行政の死角地帯に、市民の告発精神を導入するという趣旨だ。しかし、副作用を指摘する声も少なくない。他人の過ちを告発するために盗撮を利用するという市民監視の風潮が拡散するだけでなく、政府がやるべきことを放棄した行政便宜主義的な発想という主張だ。

 韓京(ハンギョン)大学の李元熙(イ・ウォンヒ)教授は、「通報褒賞金制度には、それなりの効果があるものの、政府が行政目的を達成するため市民を操り人形のように利用している側面がある」と指摘した。

 延世(ヨンセ)大学の金皓起(キム・ホギ)教授(社会学)は、「政府が金銭万能主義を利用して、簡単に政策広報効果を上げようとしている側面が強い」と説明した。