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「整形共和国」

朝鮮日報 2001.07.01(月)19:27

<週刊朝鮮カバーストーリー>「整形共和国」韓国−老若男女、誰もが「ここ直して!」


 ソウル市清潭(チョンダム)洞に住む大学講師の趙某(41、女性)さんは今年1月、冬休みを迎えた高校2年生の娘に二重まぶたの手術をさせようと整形外科医を訪れた。周囲は「高3の冬休みにすればいいのでは」と口をそろえた。だが、趙さんは「いまでないとだめ」と答えたという。
 「高校の卒業アルバムは一生残る。その前に手術をすれば、大学に入学しても自然にみえる。だから高3の冬休みではなく、いますべき」というのが彼女の説明。趙さん自身も、20年前に二重まぶたの手術を受けたことがある。趙さんは「目が小さくてぱっとしない子供が、自分に自身を持って、よい職場に就職し、よい人と出会って結婚できるというのなら、親としては当然してあげるべきではないか」という。印象まで変える整形手術ならば問題があるが、勉強ができて性格がよいことと同様に、外見も重要ないまの世の中だから当然だ、と理由をあげる。

 ソウル市狎鴎亭(アプクジョン)洞のある整形外科医は、「手術費用として数百万ウォンかかるのに、借金までして子供の顔を変えてあげようと言う親が最近多くなった。彼らは『外見が人生を左右する』として、よい観相が成功の指標だと固く信じている」と分析する。

 ソウル市良才(ヤンジェ)洞に住む主婦・金某(53)さんは、最近、自分の夫に隠れてしわとりの手術を受けた。子供を大学に送り、主婦業もある程度一段落した友人同士、昨年「整形手術の契(ケ、頼母子講のようなもの)」を始めておカネをためたという。金さんは、「他人はわからなくても、自分が満足できればいいのでは」と自信たっぷりだ。

●男性も毛髪移植に二重手術

 韓国社会が、誰もが美男・美女を夢見る「整形共和国」へと向かっている。体はすらり、顔もすっきりとした美人を夢見る若い女性はいうまでもなく、高校生から70歳を超えるおばあさんまで整形手術の希望者として列に並ぶ。皮膚管理、二重まぶた、毛髪移植など男性たちも整形手術の対象から例外ではない。wアカラーを変え、皮膚マッサージを受けるかのように、整形手術を受ける。

 「大きな顔は小さく、角張ったあごは卵形に、しもぶくれの頬はすっきりと、大き過ぎる胸はちょっと小さく」など、注文事項はそれぞれだ。外国雑誌に出てくるような女性モデルの写真を持ってきて、「このモデルと同じスタイルに」と注文する人がいれば、「パク・ジユン(女優)やチェリム(同)のように筋が通った鼻に」といった具合に、具体的に「希望事項」を打ち明ける手術希望者もいる。

 1、2カ所だけの整形手術では飽きたらず、体のあちこちを全面的に「保守工事」する人もいる。脂肪吸入手術をしてから6カ月経って再手術となり、前回は鼻筋を少し高く通したのに、今回は鼻先を上げてほしいという者もいる。ある整形外科医は「7、8年前だけでも整形手術は正当な医療行為とみなされず、手術したといえば後ろ指さされるような雰囲気だった。最近は『私、二重にしたの』と堂々と告白する人が増えている」と指摘する。

 「人間の体は欲望の源泉であるのと同時に欲望の対象」という言葉もあるように、誰かよりもきれいな外見を持ちたいというのは、あまりにも当然。「外見」すなわち「能力」とされる最近の状況では、なおさらそうだろう。美に対する関心が高まっているのは、韓国だけの状況ではない。米国整形外科学会も最近、「2000年度は米国全国で行われた美容整形手術は130万件で、92年の33万9000件に比べほぼ3倍増加した」と発表した。

 しかし、韓国における最近の「整形手術ブーム」は、ただたんに「美しくなりたい」という欲望のため、とは思えないとの指摘がある。誰彼関係なく、映画や漫画の中に出てくるような「バービー人形」のようなスタイルと顔を持ちたいと努力し、まるで工場で機械を作るかのように自分の体と顔を作ることを簡単なことだと考えているようだ。

 今年2月21日付『ウォールストリート・ジャーナル』も、韓国女性における整形の実態について特集記事を掲載した。記事のリードには「太いふくらはぎにうんざりしている韓国女性たち、神経をマヒさせ筋肉を削る整形手術に解決策を求める」。特に、外国人は異常に思うのか、「大根足」とからかわれるのが嫌で筋肉の一部を削った手術をしたという女性の例を、記事の冒頭で紹介している。「韓国女性は西欧における美人のイメージそのままに、鼻を高くし、あごを削り、目を大きくさせる」という指摘も付け加えている。

 整形手術へと向かう行列が続く「整形共和国」において、嬉しい悲鳴を上げているのが美容整形専門業者。国税庁の課税資料によれば、美容整形市場は年5000億規模。無免許施術など、アンダーな部分まで合わせると年間3兆ウォンを超えると予測されている。専門医の手による整形外科はもちろん、「診療科目=整形手術」と看板を掲げている非専門医がいる病院やビューティ・クリニック、さらには無免許整形業者まで加わっている。

 大韓医師協会によれば、全国の整形外科開業医数は467カ所。このうち、ソウル・京畿(キョンギ)道地域では200カ所を超えるという。また467カ所の10%にあたる50カ所ほどが、ソウルの江南(カンナム)区の新沙(シンサ)洞、狎鴎亭洞に集中している。

 6月20日、ソウル地下鉄狎鴎亭駅のある地点で、目に入った整形外科の看板の数だけでも10カ所ほどになった。ソウル地域の有名な「整形タウン」は狎鴎亭洞をはじめ江南駅、明洞(ミョンドン)、新村(シンチョン)駅(梨花女子大学)付近と、女性の流動人口が多い場所で脂肪吸入、目、豊胸など「部位別」専門の医者が数名が集まって開業するのが流行となっている。「手術がうまい」と口コミで有名になった江南の病院では、一日平均5〜10回の手術を行うという。このような場所は、数カ月先まで予約がびっしりとうまっているという。

 国内の整形手術市場を左右するもう一つの軸は芸能人。「外見=競争力」のため、彼らは一年中自らの体に手を入れる。これだけでない。病院を訪れる患者の趣向を左右する標準にもなるのだ。「芸能人の誰それが鼻の手術をした所だって」と噂される病院は、患者誘致合戦に熱を上げる必要がないほど、多くの人が前で列を作る。ある整形外科医は「ある芸能人マネージャーから『病院の広報はわれわれが責任をとるから、整形手術をタダにしてほしい』と依頼されたことがある」と打ち明ける。

 整形手術(plastic surgery)はもともと、再建手術(reconstructive surgery)と美容整形(cosmetic surgery)の二つに分けられる。われわれがよくいう整形手術は、非正常な体の一部を普通に戻す美容整形を指す。正常なことを「自分が気に入るように」治す手術だけに、患者からの要求はいつも流行に左右される。

 以前は、二重まぶたで鼻筋を通す手術が主流だったが、最近はスマートな体と小さな顔が手術の最大目標となっている。実際、豊胸手術や内股や下腹の脂肪除去のような身体整形手術の件数がはるかに増えている。最近、ダイエットで有名になったコメディアンのイ・ヨンジャさんが受けた手術も、全身にわたる脂肪吸入手術だった。「顔が不細工なのは我慢できても、スタイルが悪いのは我慢できない」と、出産後に変わった体を元に戻すといって病院の門を叩く女性も多い。西欧的な美人型が人気を集めているためか、大きく見える顔を小さく見せるようにする顔面輪郭手術の件数も大幅に増えている。

 手術費用は150万〜200万ウォン程度という二重まぶたと鼻筋の手術は10〜20歳代で人気。一方、あごを削る顔面輪郭手術(500万ウォンほど)や脂肪吸入手術(300万〜500万ウォン)は20〜40歳代が多い。豊胸手術や乳房整形手術(600万ウォンほど)は20歳から60代にいたるまで、あらゆる年齢層にわたった広まっている。最近、40〜60代の女性たちの間では、しわとり手術と注射療法が特に人気だという。

●整形手術が“景品”に

 それならば、整形手術をする人たちは何を考えているのか。「内面の美しさが外面の美しさより重要だ」といった言葉は、彼女たちには非現実的なだけだ。「ちょっとかわいくなりたくて」手術を受ける者もいるが、それなりに手術の目的ははっきりかつ具体的な人も多いというのが、業界関係者の声だ。

 60代半ばの老人が整形外科を訪れるのも、それなりの理由がある。目の周りの脂肪やしわをとりたくて手術するのはもちろん、「人生を取り戻したくて」するという者も多い。垂れた胸を上に上げて豊胸する手術を受けるために整形外科に行ったという、70歳を超えるおばあさん。担当医者が「本当にすぐに手術を受けたいのか」という数回の質問に、彼女は「私は女。残りの人生を悔いなく生きたい」と答えたという。

 左右のあごがそれぞれ不揃いな顔の輪郭を治したいと手術を受けたという、現在米国留学中の朴某さん(25)は、「整形手術をするからといって、それが正しいとか悪いとか議論すること自体滑稽。足が悪かったり頭がはげていたり、あるいは先天的な病気のように、本人が鏡を見るたびにいらだって心理的に落ち込んだまま、何もしないで生まれたままの姿でうじうじと生きていく理由はないのでは」と反問する。

 問題は、整形手術の需要が増えているために、手術希望者を食い物にする不法商法が広まっているという点だ。さらに最近には、インターネットのポータル・サイトやオフライン企業まで、この市場に参入している。実際、病院には美容関連のインターネット業者で「イベントを開きたいが、そこでわれわれと提携して整形手術を景品として出してみましょう」という提案が絶えないという。整形外科の協議会は最近「景品を提供する整形外科と医師には懲戒、あるいは除名措置を出す」と発表したものの、依然として減ることはない。

 患者の誘致合戦が繰り広げられ、事務所まで置いて運営する無免許業者まで登場している。整形外科医を装い、無許可でしわとり手術などを行って拘束された「偽物医者」の事件も次々と出ている。ニセ医者に自分の体をまかせてしまい、その副作用で再手術を受ける羽目になってしまった患者も増えている。

 整形手術に対する過熱現象については、専門医たちも認めている。間違った手術を受けた患者を対象に、「副作用クリニック」を運営しているシン・グクソン整形外科院長は「オーディオ時代からビデオ時代に移り、話がよかろうが性格がよかろうが、いったん外見で評価される時代になってしまったようだ。だからといって、専門医と相談することなく、軽く考えて体にメスを入れることは絶対に避けなければならない」という。またネオ整形外科のシム・ヒョンボ院長は「他人よりもいい外見を持ちたいという欲望は誰でもある。かといって、誰で手術室には入れない。“見られる”ことについて関心が高く、誰かがやればすぐその後を追ってしまう韓国人の性格が反映されているようだ」と指摘する。

★整形手術中毒−手術後への過大な期待と幻想が問題

 外見へのコンプレックスで苦しんでいる会社員のAさん(24)は、貯金して集めたおカネで目と鼻、あごの整形手術を受けた。それでも気に入らず、2年間で4回の手術を受けた。見栄えはよくなったが、彼女の不安と憂鬱は消えなかった。Aさんは結局、整形外科医の勧めで精神科の治療を始め、1年以上かけた集中的なカウンセリングと抗憂鬱剤の投与によって安定を取り戻した。

 整形手術が一般手術と最も違う点は、「成功的な手術」という評価が、徹底して主観的な判断にかかっているということ。手術後に変わった外見が他人の目にはよくても、手術を受けた本人が満足しないのは日常茶飯事だ。問題は、「手術後」の姿にあまりにも多くの期待と幻想を持っていて、手術の結果に満足できないと「気に入るまで」整形手術を続ける人の場合だ。

 彼らは、「整形手術中毒者」として分類される。公式的な医学診断名ではないが、もともとは各種手術を反復して受ける人たちを指す用語で、「手術中毒症(mania operativa)」という言葉がある。主に健康に対し病的なまでに気にすることで出てくる症状で、特に「整形手術中毒症」は単純な心配から出てくるよりは、深刻な精神的な疾患と関連している確率が高いという。

 整形手術中毒症の人は、身体の各部分を順に整形手術するのはもちろん、一度手術したから二度とする必要はないのにもかかわらず、周期的に再手術を繰り返す。一度メスを入れた所をまた手術すれば危険なのに、医者に手術してほしいと強力に要求する患者もいる。ソウル市狎鴎亭洞のある整形外科医は「いくら言い聞かせても、カネを出すといっているのにどうして手術しないのか、と脅す患者も多い」という。

 整形外科ではこのような手術中毒者には、精神科の治療を積極的に勧めている。問題ある患者とは、「ただ気分転換のため」と手術をしたり、「心理的不安を外部から治そう」といって手術を行う場合だ。

 ネオ整形外科のシム・ヒョンボ院長は「病院にやってくる人たちのうち、15〜20%は精神的疾患を持っていると考えてもよい。手術を望む患者に、なぜ手術したいのかと質問しながら1時間ほどの相談を行うのが重要だ。現実の生活で、自分の体にコンプレックスを持って改善しようとして来た者なのか、あれやこれやと流行ばかりを追って手術を“暇つぶし”にしか考えていない患者なのかを見定めるためなのだ」という。

(『週刊朝鮮』2001年7月5日号)

参考記事
 「成人10人に1人は整形」
 大統領も整形する整形大国
 「二重手術に失敗」 女子大生が自殺
 整形手術で人生勝負
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