『韓国古代史の中の古朝鮮』

朝鮮日報 2003.02.14(金) 19:12

『韓国古代史の中の古朝鮮』

 386世代(60年代に生まれ80年代に大学に通った現在30代の人を指す言葉)で韓国の学界では初めて「古朝鮮史」で博士号の学位を受けた韓国教員大のソン・ホジョン教授(39)が『韓国古代史の中の古朝鮮』を出版した。

 A4用紙にして2枚ほどに過ぎない古朝鮮の文献資料を補うために、中国の学界の膨大な考古学的資料を綿密に研究し、現地調査した結果の集大成だ。

 「檀君神話は読まれるたびに『我々は一つの民族』という民族意識を形成する役割を果たしてきました。しかし神話ではない歴史を語る時、満洲全域を統治した檀君朝鮮が実存したとは言い難いです」

 ソン教授は、古朝鮮史の始まりを、中国東北地方で青銅器文化が発展した紀元前8〜7世紀頃と見ている。この時期は中国の文献『管子』に古朝鮮が初めて登場する時期と一致するという。

 古朝鮮の領域も遼東と韓半島の西北地域に限定しなければならず、遼西地域まで拡大するのは不可能という。この地域の琵琶型銅剣文化は、後日遊牧化した「山戎」と「東胡」の文化として見なければならないという主張だ。

 「檀君神話は本文の内容では扱いませんでした。具体的な古朝鮮の歴史とは無関係だからです」。ソン教授は古朝鮮の建国時期として知られる「紀元前2333年」は、実は「三国遺事」を解釈した「東国通鑑」の見解として見なければならないと言う。
 
 最近、ある衛星放送の番組で古朝鮮史に関する講義をしたソン教授は、侮辱受けた。「なぜ我々の民族史を縮小したのか」という抗議や個人攻撃が相次いだからだ。

 「植民史学者」、「歴史の歪曲」などの非難は、むしろ大人しいほうだった。しばらく大きなショックを受けたソン教授は、古朝鮮史に対する読者たちの疑問の声と間違った考えを変えるために新しい本を執筆している。

 『韓国古代史の中の古朝鮮』は通史ではなく、99年に取得した博士号の学位論文の改訂版だ。考古学的な検討には多くの時間を割かなければならず、軽く読むのは容易でない。

 また「最終結論は文献資料に基づいた」としながらも「古朝鮮が燕に西側の土地2000里を奪われた」という『魏略』の記録を無視した点、遼西地域の青銅器文化の主人公という「山戎」と「東胡」の実体が相変らず曖昧な点、紀元前7世紀の様子を伝えるという『管子』が、はるか後代の戦国時代以降に書かれた本という点などは反論の余地を残す。

兪碩在(ユ・ソクジェ)記者

 韓国にも、まともな歴史研究者は存在します。
しかしながら、現在の韓国ではまともな歴史研究を発表すると、社会的に「歪曲」と非難されるようです。
日本の政治家の発言や教科書が「歪曲」と非難されるのと同じ構図です。