朝鮮日報 2001/05/02 12:29
<韓国のネティズン>日本の歴史教科書歪曲を糾弾した「3・31南伐」
文部省、産経新聞、新しい歴史教科書をつくる会などのサイトを占拠
3月31日、韓国のネティズンが日本の歴史教科書の歪曲を糾弾し、日本の文部科学省や産経新聞、自由民主党(自民党)、新しい歴史教科書をつくる会、産経新聞グループの扶桑社、北海道議会のサイトを占拠した。
政府機関とマスコミなど、日本の主要サイトはこの日は接続ができない状態に陥った。普段の数百倍ものアクセスが集中、サーバが持ちこたえられず、停止してしまった。扶桑社は「普段より最高で600万倍もの数で接続された」と明らかにした。韓国ネティズンはこの事件を「サイバー連帯デモ」あるいは「3・31南伐」と呼んでいる。
このデモ参加者は、事前に約束したとおり午前9時、正午、午後3時、6時、9時にそれぞれ30分ずつ集中してサイトに接続した。文部省と産経新聞、自民党、新しい歴史教科書をつくる会、北海道議会のホームページは押し寄せるデモ参加者に勝てなかった。
サイバーデモ隊に勝てず、最初にダウンしたのはネティズンのデモ対象第1号とされた文部科学省のホームページ。このサイトは午前9時を少し過ぎたあたりから一日中「ページを表示できません」とのメッセージが出っぱなしだった。他のサイトは接続速度が続けて遅くなり、正午を起点として接続不可能になったり可能になったりを繰り返す状態だった。
デモ隊と最後まで接戦を繰り広げたのは、産経新聞が運営するニュースサイト。普段1秒で画面を表示させてきた産経新聞のサイトは、この日の正午頃には画面表示が50秒ほどかかってしまうほど接続障害が続いたが、それでもダウンすることはなかった。
デモに参加したネティズンは、「独島(竹島)守護隊」サイトに設けられた掲示板などに「産経新聞のサイトはまだ正常。産経新聞を集中攻撃しよう」という文章が踊った。デモに参加したネティズンはデモの状況を各種のサイトにある掲示板に載せるなど、同調を求めていたほど。
■6つのサイトすべてが接続不能に
結局、午後3時頃から6つのデモ対象サイトすべてが動作不可能の状態に陥った。午後3時を超えたあたりからは産経新聞を除いた5つのサイトへの接続が全くできなくなった。4番目の攻撃時間である午後6時。産経新聞のサイトは再び接続可能・不可能状態を繰り返していたが、5つのサイトは再び接続不能状態になっていた。
この日のデモが実行される以前から、国内大型インターネットサイトに設けられている掲示板には「日本総攻撃」というタイトルの文章が載せられていた。そこには「教科書における歴史歪曲問題に責任ある団体のホームページで、3月31日に仮想連帯デモを行おう」という内容が含まれていた。作戦時間は3月31日午前9時、正午、午後3、6、9時。実行時間から30分ずつ同時に接続、ホームページを麻痺させようという内容だった。
また掲示板に載せられた文章には、日本語や英語がわからないネティズンのために「歴史の歪曲教科書検定通過に反対」というスローガンまであった。コピーして日本サイトの掲示板に載せようというものだった。
掲載した者は「目標を達成しようとすればネティズンが150万人以上参加しなければならない」と明らかにした。しかし、ネティズンは日本の良心的な日本人も右翼的な歴史教科書を心配しているだけに、日本人をひとかたまりにして非難することは慎むよう要請していた。
「新しい歴史教科書をつくる会」は、右翼団体として問題の歴史教科書を執筆した所。文部省は歴史教科書の審査権があり、「つくる会」がつくった教科書を公式教科書として認定した。
また、問題の教科書を出版したのは扶桑社。扶桑社を子会社としている産経新聞は、一貫して「韓国と中国が国内の教科書問題に干渉するのは不当」との主張を繰り広げてきた。歴史教科書問題は、日本内でも多くの論議を呼び起こしていた。
朝日新聞は3月22日付の社説で「過去の植民地支配と戦争を肯定的に扱うことは当時の日本国民による侵略で苦痛を受けた人たちを無視した一方的な分析」として、新しい歴史教科書をつくる会陣営を批判した。同日、産経新聞は「いままでの教科書問題は日本のマスコミ報道が中国と韓国などの批判を呼び起こし、日本政府が政治的に介入する悪循環の繰り返しだ」とし、韓国と中国が教科書の歪曲に反発するの朝日新聞のせい、と一方的に主張した。
産経新聞は日本の良心的な勢力と対決し、歪曲教科書を擁護する先鋒的な役割。同紙は3月8日、「間違いなく日本の領土」というタイトルの社説で澄田信義島根県知事が最近「日本固有の領土である竹島を韓国が不法占拠し、主権を行使できなくなっているのは遺憾」と発言したことを伝えた。続けて「島根県知事の発言が日本国民の気持ちを代弁している。島根県は竹島問題を喚起させる好機として、県民と国民世論を喚起するためにもう少し積極的に出るべきだ」と付け加えた。
デモが行われる前から、いくつかの国内サイトの資料室は、1回だけボタンを押せばデモの対象である6つのサイトを同時に接続で器量にした「3・31南伐」というプログラムがアップされていた。このプログラムを実行させれば、パソコンのディスプレイに6つのサイトが同時に表示されるようになる。また「攻撃開始」ボタンを押せば、2、3秒間隔で同時に連続接続でき、接続回数も表示されるようになっていた。また画面に「南伐。これ以上沈黙するのは止めよう。沈黙、それも罪悪だ」「2000.3.21以降には実行されません」というメッセージが出てくる。31日、たった一日だけ使えるようにつくられたものだった。
韓国情報保護センターハッキング・ウイルスチーム長のパク・ジョンヒョン氏は、「3月31日のデモの道具として使われたプログラムは2種類」という。対象ホームページに続けて接続するようにされたプログラムと、相手のサイトが正常に動いているかどうかを知るために使うpingという命令後を連続して送り出すプログラム、の二つと指摘する。この命令後を送れば、相手のサイトのサーバコンピュータは回答を出す。一度に多くの者が特定サイトにこの命令後を送れば、サーバはその作業をするために他の作業ができなくなる状態が発生する。このサイバーでもが発生すると、日本のネティズンは神経質的な反応を見せた。
akihuyu_48というハンドルネームを使っている日本人は、3月31日の日本ヤフーサイトに「サイバーテロを喜ぶ異常な心理」という文章を載せた。そこには「韓国の若者は反日という言葉に異常に反応する。韓国全体が日本に対する破壊・妨害行為を英雄視し、その背景には日本に対する暴力は罪ではなく正義だという考えがある」と書き記している。
fusianasan_2000というIDを使っている日本のネティズンは同日、同じサイトに「このような狂ったやつが100万人以上いるような国家とワールドカップを共同開催するという。絶対うまくいくはずがない」という文章を載せた。被害者である産経新聞は「言論に対する破壊行為」とし「韓日捜査当局の徹底した対応を望む」と抗議した。
■現行法では処罰の根拠がない
しかし、国内の捜査機関は処罰理由も根拠もないという立場だ。警察庁サイバーテロ対応センターのハ・オクヒョン団長は「現行法上、処罰するための根拠がない」と明らかにした。「日本側の被害者が業務を妨害されたことを立証するための資料を提出し、捜査を要請すれば捜査に入ることができるが、公式の捜査要求を受けたことはない」とうち明ける。
現在、日本はインターポール(国際刑事警察機構)を通し、国内法にサイバーデモを処罰できる条項があるかを調べている状態だ。また日本大使館は、韓国の外交通商部を通し、警察に再発防止のため努力してほしいとの意志を伝えている。
ハ団長は「ハッキングは国際的に犯罪行為という共通認識を持って対応しているが、今回の事件は国際的な尺度を持ってしても、犯罪とはみなせない」と付け加える。「個人の自由意志を表現したものであり、刑法上の犯罪に該当しない」とのことだ。
日本が帝国主義時代犯した犯罪のためにサイバー攻撃を受けたことは、今回が初めてではない。特に中国のハッカーは過激な行動を隠さない。今年初め、中国のハッカーは日本の右翼団体が南京大虐殺を否定する集会を開くと、日本政府と関連ある団体のサイトを10回以上ハッキングし、ホームページを日本を批判する文章と写真に替えてしまうほどだった。
中国ではハッカーを漢字で黒客と書く。最近、中国のハッカーはとっくに日本攻撃用の自動ハッキングプログラムを作ったようだ。情報保護センターのパクチーム長は最近、ライオンというハッキングプログラムが発見されたことを明らかにした。このプログラムはサイトをハッキングし元の内容の代わりに英語で「日本人を殺せ」とのメッセージを表示させるようになっている。またハッキングしたサイトの情報を電子メールで中五億に送る。政府の統制が効かないインターネットという仮想空間で、過去に犯した行為を否定する日本と被害当事国との間に神経戦が繰り広げられる。
(『週刊朝鮮』2001年4月19日号)
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